轟焦凍 ページ40
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誰しもが心に傷を持っている。
人には見せられない闇を。
それを必死に覆って、隠して、嘘や意固地で塗り固めて、平然を装って生きている。
きっと立ち入られたくない場所があるのだ。
焦凍にも。
徹底的に隠し通すこと。
人と干渉せず、迷わず、己だけを信じて進み続けること。
それこそがきっと、焦凍の揺るぎない強さの礎となっている。
では、彼の本当の心はどうなるのか。
分厚い氷で隔てられた彼の心は、どこへ向かうのか？
薄暗い通路を抜けて会場へと出る。
まばゆい光と観客達の大歓声に包まれるなか、反対側から、Aと同じように中心地へと歩いてくる焦凍の姿が見えた。
(焦凍くん……)
悲しいな、と思った。
それだけの何かを一人で抱え、絶対的な強さをもって人に触れられぬよう守っている焦凍の心が、解放されて自由になれればいいのにと思った。
「お待たせしました！続きましては〜こいつらだ！搾取！搾取！また搾取！やべえよこいつの横取り戦法！ほとんど何もせず他人の力でついにここまでのし上がってきたヒーロー科A！！」
(何もせずって、ちゃんと個性使ってここまできたんですけど！)
プレゼント・マイクの紹介にいささかムッとしながら、Aは心のなかで反論する。
「バーサス！2位・1位と強すぎるよ君！同じくヒーロー科轟焦凍！！」
これまでの種目において圧倒的な存在感を誇ってきた焦凍の登場にスタジアムが揺れるように盛り上がりを見せる。
「…手加減はしねえぞ」
向かい合って立つと、凄むような口調で焦凍が言った。
機嫌が悪い。父親とのさっきのやり取りが関係しているのだと瞬時にAは悟った。
冷たい光を宿した焦凍の目を臆することなくまっすぐ見返し、挑戦的な目でAが言う。
『焦凍くんを縛っているもの。焦凍くんが、恐れているもの。焦凍くんが……目を背けているもの』
焦凍の眉根が寄せられた。眉間にシワが生まれる。
『全部、ぶっ飛ばしてやりたい。私じゃ、出来ないかなぁ』
「…？何言ってんだおま――」
『焦凍くんが頑なに左側を使わないの』
訝しげにAの言葉の意味をうかがおうとする焦凍の言葉を遮って、Aは続けた。
『お父さんが、関係してるんだよね？』
焦凍がハッとして目を見開いた。
一つ舌打ちをすると、すばやく観客席に目を走らせ出久の姿を探した。
「…緑谷から聞いたのかよ」
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スカイ(プロフ) - コメ返してくれてありがとうございました！めっちゃ面白い...最高です！今後に期待します！ (2018年6月19日 20時) (
レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - スカイさん» 感想ありがとうございます！勢いで書きなぐっておりますが、楽しんでいただけたようで嬉しいです＾＾ (2018年6月17日 23時) (レス) id: 23b7097a95 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - 本当に好みのシチュです！完結まで絶対見ますねー (2018年6月17日 19時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ - 面白いです！頑張ってくださいね！ (2018年6月17日 16時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月 | 作成日時：2018年6月13日 14時
