これがヒーロー ページ23
.
USJの天井を突き破り、綺麗な弧を描いて飛んで行った脳無を、A組の生徒はただ呆然としながら見送ることしかできなかった。
対オールマイト用に作られた脳無をも遥かに凌駕したオールマイトの実力。
それは脳無に再生する隙すら与えず、究極のラッシュでショック吸収を"ないこと"にした。
(これがトップ…)
(プロの世界か…！)
A組屈指の実力者である焦凍も勝己も、これには肝を潰したようだった。
強さが桁違いすぎる。
彼と一戦を交えて自分が少しでも通用するビジョンなど一切浮かんでこなかった。
待っているのはただ一つ、絶対の"負け"だ。
脳無を失い、オールマイトの気迫に気圧され始めた敵は、さっきまでののらりくらりとした余裕な立ち振る舞いが嘘だったかのように取り乱し始めた。
「主犯格はオールマイトが何とかしてくれる！俺らは他の連中を助けに…」
自分たちの出る幕ではなかったことに安心した切島が言うと、それに賛同したらしい勝己と焦凍はそのあとに続いたが、出久だけがそのあとに続かなかった。
「緑谷」
焦凍が振り返って名前を呼んでも、出久の耳には一切届いていない。
ただならぬ雰囲気でぶつぶつと何かを呟いている。
「そうだな…そうだよ…そうだ…、やるっきゃないぜ…目の前にラスボスがいるんだもの…。何より…脳無の仇だ」
オールマイトの力を前に、すっかり戦意喪失したかに思えた敵が、この期に及んで抵抗を続けた。
青年とワープゲートがオールマイトに向かって突進する。
Aは額から流れる汗と目に溜まった涙を拭って、フーッと大きく息を吐いた。
離れた位置から戦況を見守っていたが、戦局が大きく動き出したようである。
精神を研ぎ澄ませ、気合十分に敵を見つめた。
個性発揮の時間が自分の限界を超えると、体のSOSが様々な不調となって身体に現れるが、背に腹はかえられぬ。
何かあれば、最後の気力を振り絞ってすぐにでも敵を止めるつもりだった。
『―――あっ…！』
その場にいる何人の目に、出久の速さが追えただろうか。
誰しもの予想を遥かに上回って、敵の眼前へ躍り出たのは出久だった。
「オールマイトから離れろ！」
ワープゲートを介して青年の手が出久へと伸びる。
これ以上は無理だと思ったAが個性を使おうと思ったその瞬間―――
敵の手を、重い弾丸が貫いた。
ハッとして振り向くと、そこにいたのは頼もしい増援だった。
「1-Aクラス委員長飯田天哉！ただいま戻りました！！」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 299人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スカイ(プロフ) - コメ返してくれてありがとうございました！めっちゃ面白い...最高です！今後に期待します！ (2018年6月19日 20時) (
レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - スカイさん» 感想ありがとうございます！勢いで書きなぐっておりますが、楽しんでいただけたようで嬉しいです＾＾ (2018年6月17日 23時) (レス) id: 23b7097a95 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - 本当に好みのシチュです！完結まで絶対見ますねー (2018年6月17日 19時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ - 面白いです！頑張ってくださいね！ (2018年6月17日 16時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：卯月 | 作成日時：2018年6月13日 14時
