お前といると ページ12
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―――なんで私を、雄英に誘ったの？
「…さあ」
どこか俯いているような様子で、勝己は小さく言った。
「んな昔のこと、覚えてねえな」
『んな昔って…』
去年のことなんだけど、とは口に出さず、胸中で呟くだけに留めておいた。
ずっと勝己に聞きたいと思っていたことである。
なぜヒーローになることを勧めたのか。
なぜ勝己と同じ雄英であることに勝己がこだわったのか。
出久には受けるなと念押しした雄英を、なぜ自分なら受けてもよかったのか。
正直Aには、勝己の真意を理解することができなかった。
勝己にとって、自分は何なのか。
自分は特別な存在なのだと思う日もあれば、たんなる幼馴染、同級生の一人にすぎないのだとまざまざと思わされる日もある。
勝己はいつもどこかのらりくらりとしていて掴み所がない。
近いようで遠い。
わかったようで、わからない。
二人の関係は、いつも一定じゃなかった。
『…私はさあ』
ぽつりとAは言った。
『勝己とずっと仲良くしてたいしさあ、出来ることならそばにいたいの。わりと』
Aが言葉を選びながら話しているのがわかる。
勝己は黙ったまま聞いていた。
『勝己が何考えてるのか知りたいし、もっと話したい。色んなこと聞きたいし、言って欲しい。支…えたい。近くで。……勝己はんなこた、望んでないと思うけど』
相変わらず何も言おうとしない勝己に急にAは恥ずかしくなり、強引に話を畳もうとした。
『や！うん！こういうの一番勝己嫌いだよね！支えたいとかはおこがましかったわ！ただあのー、あれ！そばにいたいですって、ただ、うん、そんだけ』
「…あ、そ」
『あっそて…』
「じゃ、いれば」
押し付けるように言われた言葉に、Aは思わず『えっ？』と聞き返すが、勝己はそれを無視してどんどん歩いていってしまう。
仕方なく小走りになってあとを追いかけると、追いついたところで急に目の前を歩いていた勝己が立ち止まったので、Aは頑健な背中に顔面からぶつかった。
『ぶっ……いたあー…！』
「…退屈しねえと思ったんじゃねえの」
顔をおさえるAへ向かって、振り返らないまま勝己が言った。
「お前といると」
Aの目が見開かれる。
思わずその場に立ち尽くしていると、何してんだ行くぞと呼ばれた。
(ま、まじか…)
脈拍が速くなる。
赤い顔を悟られぬよう、顔を俯かせてAは勝己のあとを追った。
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スカイ(プロフ) - コメ返してくれてありがとうございました！めっちゃ面白い...最高です！今後に期待します！ (2018年6月19日 20時) (
レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - スカイさん» 感想ありがとうございます！勢いで書きなぐっておりますが、楽しんでいただけたようで嬉しいです＾＾ (2018年6月17日 23時) (レス) id: 23b7097a95 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - 本当に好みのシチュです！完結まで絶対見ますねー (2018年6月17日 19時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ - 面白いです！頑張ってくださいね！ (2018年6月17日 16時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月 | 作成日時：2018年6月13日 14時
