めぐり愛の季節 (ページ5)

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連絡は毎日取り合っていた

“寝不足？クマすごいよ”
ってチェックされたり
たまにいつもの場所に別の人がいたりして
“取られてやんの”
って笑われたり。
俺も気になってた本のこと聞いたり
明日早出だからいないよって言ったり…

もっといろんなことを聞きたいけど
重いやつって思われたくなくて
あまり過剰に送らないように気を付けた

そしてずっと言えないでいる

≪ふたりで会いたい≫

電車越しじゃなくて
文面じゃなくて
もっと近くで顔が見たいし
直接声を聴いて話したい

俺の恋心はとっくに
十分すぎるほどに育っていて
止める事も、いや止める気もなかった

言わなければいい
バレなければいい

でも、そんな逃げ腰な恋は
とんだ誤算なんだと
痛みと共に
思い知らされることとなった

メールが来る度に
会いたくて
ホームでの笑顔を見れば
胸が締め付けられる

そして会えない土日は
更に思いが募った

「俺、バカなー…
それが好きってやつじゃん…
忘れてたー」

恋の切なさをすっかり忘れて
関係の始まりに浮かれすぎていた
相手の知らない情報を
知りたいと思っているうちはまだ楽しい
でも想いを伝えたい
相手の気持ちを知りたいって
好きが育っていくと
それは苦しみも連れてくる

一人暮らしの小さな部屋
ソファに仰向けになり
天井を見上げる
よくわからない感情に
瞼が熱を持ち始める
浮かぶ太輔の笑顔は
俺を救ってはくれない

ねぇ、太輔は今何を思ってる？
誰を思ってる？
恋人と過ごしてるのかな…

なんとなく出来てしまった
土日は連絡をしない
という暗黙のルールは
俺の休日を灰色に染める

「んあーーー！！くそ！
考えてもしょーがねー！
外でろ、俺！！」

何とか自分を奮い立たせ
買い物に行く準備へと取り掛かった

久々の昼前からの外出
もうすぐ夏を迎える空は
とても近くに感じた
雲ひとつない青空
危なくキノコでも生えそうだった
じめついた体をぐーっと伸ばした

「こーーごーーせーーー！！」

少し軽くなった足取りで
行きつけのショップに
足を運び、目のつくままに試着をした