あっしゅぼーい

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付き合い始めたのは玉にすぐバレた




「ミツさーわかりやすいのはいいけど…気をつけなね」




「え、なにを？」




「いや、なーんかふわふわしすぎてるからさー」




「だーいじょぶだって、ちゃんと地に足ついてます〜！」




そう言って足をダンダンと踏みつけた
藤ヶ谷さんとのやり取りは毎日してる
時間が合えば食事にも行くし、お弁当を買って一緒に食べたりもするし、作ることもある
まだ体の関係はないけど…




そしてもうすぐ１ヶ月が経つところで美容院の予約をした
携帯で予約するのは変わらない
俺が入れておくのにって言われるけど、やっぱこうやって予約して行く方がワクワクする




予約当日、付き合ってから髪をやってもらうのは初めてだからちょっと緊張する
予定より早く着いてしまいそうだったからゆっくり歩いた
其処此処に色んなところから舞い降りてきたであろう桜の花びらが溜まっている




「春は過ぎるのが早いなぁ…」




ゆっくり歩いても早すぎる
一旦店の前を通って公園にでも行こうかな
そう思って近くまで来ると店の裏手の方から女の子の声がした




「店長！！」




店長って藤ヶ谷さんだよな…
咄嗟に裏手に続く通路にある電信柱に隠れて聞き耳を立ててしまった




「お、マイコどうしたー？」




「酷いです、店長！！」




「え、なになに？」




「…私だけって言ったじゃないですか…」




「え？」




「他にもいるって…他の子から聞きました…」




え……それって…どういう…




「あー…何言ってんの、マイコだけだよ？」




「本当ですか？」




「俺が嘘言うわけないだろ、他にはいないよ、マイコだけ」




「良かった…安心しました……私、表の掃き掃除してきまーす！」




「はい、よろしくー！あ、マイコ！！」




「はい？」




「遊びじゃないからな」




「わかってますって」




やばいっ、こっちに来る…
慌てて電信柱から飛び出て、走り出した




「あれって…北山さん？？」




走り去る後ろ姿をその女の子に見られていた事に俺は気付いていない




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