美ら海の美ら人 (ページ38)

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久しぶりのお酒で酔ったらしく、

わたしは寝てしまったらしい。

見慣れない天井に頭に暖かい温もり。

きっとかなり迷惑かけちゃったな。

隣を見ると、わたしの頭を撫でたまま眠っている照史さん。

「照史さん…？」

ぐっすり眠っていて全然起きない照史さんにそっとブランケットをかけると、頭にある暖かい手を握る。

手を握りながら照史さんの顔を見つめる。

カッコいい。

少しだけ前よりもお肉のついたほっぺたに手を伸ばす。

可愛い。

ずっと見ていたい。

そう思いながらぷくっとしたほっぺたを撫でる。

好きだなんて言えないけど、今はこの曖昧な関係が幸せなのだ。

もちろん今後もどうこうなるつもりなんて全くないけど。

朝起きたら、いい夢を見たなって思うから。

朝起きたらただの知り合いに戻って、もう照史さんに迷惑なんてかけないから。

だから今だけはこの寝顔を独り占めさせてほしい。

手を握りしめてスヤスヤ眠る照史さんを見つめながら

わたしもいつのまにか眠りについていた。

手に暖かさと少しだけの湿っぽさを感じてぎゅっと握ってしまうと、ん？と声が聞こえる。

「ん……あきと…さん…」

照史さんの手を握ったまま寝てしまったことに恥ずかしさを感じつつも幸せという感情がフワフワとわたしを包む。

「ん？どしたん……？」

そう優しい顔でわたしを覗き込む照史さんに好きがあふれてしまいそうだった。

「わたし…寝ちゃってたんですね…」

そう言って気持ちを少しだけ逸らすと照史さんは微笑んだ。

「せやでー。疲れとったんやろ。

ごめんな？家に連れて帰るのもどうかと思って

俺のホテルに連れてきたんやけど…」

「はは…ありがとうございます」

下心ないで！とフォローする照史さんに思わず笑ってしまう。

その瞬間自分の中の何かが弾けた。

昨日の夜中思ったことなんて忘れるくらい照史さんが愛おしかった。

「もっと照史さんと話したかったです…

もっと照史さんの話も聞きたかったです…

なかなかこうして会ったりできないのに……

なんで寝ちゃったんだろう」

本音が漏れていく。

その瞬間身体が照史さんに包まれた。