ねぇ、こっち向いて (ページ35)

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エ「浴衣着ていけよ」

『無理だよ、実家に置いてきたし』

エ「送ってもらえば」

『浴衣の着付けって一人でやるの難しいんだよ？』

エ「じゃあせめていつもよりお洒落して行かなきゃね」

『え〜…これが限界』

いつもはショートパンツに大きめのTシャツとか、楽な格好をしがちだけど

今日はたまたま、あたしにしては少しお洒落な服装をしてるつもり。

…って言っても、一気に洗濯して着るもの無くなったから

まだJKだった頃にお母さんが買ってくれた服を棚の奥から引っ張り出してきただけなんだけど。

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エ「いいんじゃね？俺わかんないけど

そういうのは怜に聞いた方がいいよ」

怜「あたしはA可愛いから何でも似合うと思う」

『ちょっと、お世辞やめてよ笑』

怜「お世辞じゃないよ、私が男だったら絶対付き合ってる」

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着替えてくるね〜と怜が更衣室に行き、

あたしもと思って、立ち上がりついでに伸びをしたら

首の後ろで結んでたキャミのリボンが解けた。

『あーこれ自分でできないや…

申し訳ないんだけどエイジくん、頼んでもいい？』

隣であぐらをかいてスマホをいじってたエイジくんに頼むと、

「あーいいよー」って何でもない顔して結び直してくれた。

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…エイジくんのことちゃんと男の子だと思ってるけど

こういうの頼めちゃうんだよね。

これが、男友達ってものなのかな

なんて思いながら、心拍数は少しも上がらなかった。

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