30 ページ32
*
そらくんとは本当に会話が弾む。
駐輪場に来た途端、立ち止まって
また話に花が咲いてしまった。
ただでさえ教室出たのが遅かったのに20分くらい話してたら、
さっきの講義の先生が出てきて、あたしたちに気づいた。
若くて綺麗な女の先生。
「こら、そこ2人。レポート進んでないんだから喋ってないで早く帰りなさいよ〜」
はぁい、なんてゆるく返事しながら
あたしたちは動く気も起こさず、先生を見送った。
.
そ「ねぇごめん、俺自転車そっちなんだよね」
そらくんが向こうの駐輪場の方を指さした。
『え、じゃあなんでここで話してたの？笑』
そ「いや、なんか立ち止まっちゃったから…笑」
.
笑いながら駐輪場まで来て待ってると、そらくんは黒い自転車を持ってきた。
そ「お待たせ。」
『うん。』
.
そらくんはあたしとの間じゃない側で自転車を押して歩いてるから、
細い歩道では時々あたしの肩がそらくんの腕にぶつかった。
歩道橋を渡った後は、「俺そっちいく」って自然な素振りで車道側を歩いてくれて。
あたし…男の子にこんなに気を遣われたの初めてかも。
.
バス停を通り過ぎると、
高校生のカップルが手を繋いでたり、中学生の男女が楽しそうに横を走っていったり。
なんとなくそれを眺めながら、
でもあたしたちは恋人じゃない。
数ヶ月後のあたしは、
そらくんと手繋いで帰ってたりするのかな、なんて考えてみたり。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：naco | 作成日時：2018年12月21日 5時
