雨夜の星 *Birthday present* (ページ8)

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願い事は3つページ8

『くるしいよぉ』

『ふははは』

隙間がないくらい抱きしめ返した。

いつしか涙も笑顔に変わってて

でも冷静になって考えると

さっき知り合ったばかりの子とこんな抱き合ってたらさすがにちょっとマズイかなって

写真でも撮られたらこの子がかわいそうだって

心配になってきたから体をゆっくり離した。

『ありがとうね、ミウちゃん。
もうお兄ちゃん大丈夫だから』

『うん。ね、おにーちゃん、あいたい？』

『……え？』

誰、に？

『さっきのおうたのときにおもいうかべてたひと』

『……』

『またあえるからだいじょーぶだよ？』

励ましてもらってばっかりだな(笑)

会えないと分かってても
こうやって言ってくれる人がいると
慰めでも嬉しかったりする。

『会えるといいな…うん』

『あっ！！ふたつめのミウのおねがいね～、
おにーちゃんがいまみたいにわらってること！』

『……うん(照)』

『あとコレもなくさないでね？やくそくぅ～』

腕時計をちょんちょんっと触る。

ふは…お願いごと、3つになってるよ？

『ミウちゃんさ、…』

『あ～、じぃじきた！！』

お迎え来た？

パッとオレの膝から降りて

『ミウいくね？
またあうときまでげんきでね！ばいばーい♡』

目の前でブンブン手を振る。

『…うん、ミウちゃんも元気でね。
ありがとうね』

ミウちゃんの頭をポンポンすると、
満面の笑みを浮かべて

オレの後ろ側にいるであろうおじいちゃんの方へ
走って行った。

…ああっ

『ミウちゃん！ハンカチ！』

涙を拭いてくれたハンカチがここに置いたままで

ミウちゃんを呼び止めようと振り返った。

『………うそだろ』

今走って行ったばかりなのに、いない。

ていうか、誰もいない。

ロビーの端の方だったから

隠れるようなところも、ドアも階段もなくて、

これってどういう…

するとそこにマネヒョンから電話

『あ、フライトの時間決まったの？』

マネ『時間？もう搭乗手続き始まるぞ？』

『え、だって雨で遅れてて…』

マネ『雨？今日は快晴だろ』

快晴？

窓に目を向けると、
韓国では珍しい、明るくて眩しいくらいの青空。

マネ『トイレ行くって言って帰ってこないから心配した。あと10分で始まるから早くな』

『あ…うん』

ハンカチを握りしめたまま

頭の中が真っ白になった。