雨夜の星 *Birthday present* (ページ45)

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雨夜の星ページ45

A「うわぁ…綺麗」

「いつ見てもホントすげーよなぁ…」

毎晩感動する満天の星空。

周りに明るい建物がないおかげで
星の運河まで見える。

今にも落ちてきそう。

その星空の下で、毎晩話をするのがこの旅の日課になった。

A「ねぇ」

「ん？」

A「“雨夜の星”って知ってる？」

「んー、知らない。どういう意味？」

A「雨の日の夜空は厚い雲がかかってて、その雲に隠れた星は何しても見えないでしょ？
それの例えで、遠く離れた恋人には、会いたくても
もう会うことは叶わないってことを意味するの。
雨にまつわる古い日本の言葉よ」

雨夜の星、か。

少し前のオレだな…

A「まるで私のことだと思った」

「え…」

A「自分から離れたのに、毎日気持ちが揺らいでた。ユチョンからもらった手紙を読み返したり、
歌もたくさん聴いて過ごして早く想い出にしようとしたけど…ムリだったの」

オレも、Aへの気持ちが止まったまま
兵役を終えるまで、迷路にいるみたいだった。

A「でもその度に、ユチョンは国のために頑張ってるんだから私も美雨のために頑張ろうって。
なのに…その美雨とも会えなくなった」

「…うん」

A「ユチョンにも、美雨にも会えなくなったのは
2人の愛に背いた罰なんだと」

「罰？」

A「そう。だから、ユチョンと美雨の想い出は
心の中に封印したの」

あぁ…だからか。
美雨の写真、鍵付きの箱に入ってた。
もしかしてその下にはオレとの想い出の物もある？

でもそんなの、
大事なものを守ってるようにしか思えないよ。

A「でもね、少し経ったある日、
不思議なことが起こったの」

「え？」

A「時計がね、止まったの」

まさか…

A「未来の日付で止まってた」

やっぱり…
オレと同じだ。

「何日…？」

A「2016.6.1
何の日なんだろうって、気になって調べたら…」

「…ファンミーティング」

A「ふふ、うん。
分かった途端にどうしてもユチョンに会いたくなっちゃって…そしたらチケットもね、激戦だって聞いてたのにすんなり取れたの。ビックリしちゃった」

そんなわけない。
今回のファンミは席数が少なかったから特にFC優先だったはず。だから数分で完売したと聞いた。

あー、これも美雨の仕業？

そんなにオレたちを会わせたかったのか(笑)

ずっと

ずっと君に見守られてきたんだな、オレたち。