責任 ページ33
「ちょ、ちょっと待って！
病気！？妊娠！？え！？」
A「……」
「なんで！？
そんな大事なこと、なんで黙ってたんだよ！」
A「…あの時は必死だったの。ユチョンが大事な時期なのに病気の彼女の存在とか、子どもまで公になったら大ごとになるって、そう思ったら怖くて」
「だけど…！妊娠は…オレの責任じゃん…」
A「でももし公になって、そのせいで悲しんだり悩んだりしてほしくなかった。
迷惑かけなくなかったの」
「迷惑だなんて思うわけないだろ！！」
A「……ごめんね……でもあの時はそれしか考えられなくて、1人で産んで、それからしっかり病気も治そうって」
「オレ…そんなに頼りなかった？」
A「違う！そんなんじゃない！」
そう言って涙を流したA。
子どものこともあるけど、
病気のことも全部、一緒に請け負いたかった。
けどオレのことを考えて1人で答えを出したA。
どんなに寂しかっただろう、辛かっただろう。
「ごめんな…オレのせいで。
オレがAを責める資格なんてない…」
A「ううん、いいの」
「…子ども、もう大きくなったんじゃない？ 」
A「……」
「…A？」
Aが悲しげに俯いた。
A「ダメだったの」
「…？」
A「産んで…あげられなかったんだ」
「………そっか」
A「会いたかったな、ユチョンの赤ちゃん」
「…ん…オレも会いたかった」
A「…会ってる」
「え？」
A「最後にどうしても会わせたくて。
先生には止められてたんだけど、6月の韓国。
知らせるつもりもないくせに、自分でも勝手だなって思ったんだけど」
「あの時、お腹にいたの？オレたちの赤ちゃん」
A「…うん、いたよ」
「…そっか。あの時オレ、アッパだったんだ」
渡韓してくれた2年前の誕生日
あの時君はいろんな覚悟を決めて来てたんだ。
短い間だったけど、オレはアッパだった。
「全然気がつかなかった…
知らずにオレ、いろいろしちゃったじゃん」
A「ふふ、うん。
知らないはずなのによくお腹を触ってたでしょ？
繋がってるのかなって、そう思ったら嬉しかった」
「ふはっ…言ってほしかったな…」
A「ごめんね。でも心配や不安もあったけど、
すごく幸せだった。ありがとう、ユチョン」
…過去形か
「…もう、あの時には戻れないの？」
A「…できない」
なんで？
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作者名：chuna | 作成日時：2016年5月22日 10時
