雨夜の星 *Birthday present* (ページ4)

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ミウちゃんページ4

……ツンツン…

『…ん』

なんだ…？

……ツンツン……ぐりぐりっ

『うっ…』

手で顔を覆っていたオレの脇辺りに
誰かの小さい指が触れていた。

オレが顔を上げないからか、
ぐりぐりっと人差し指で押されて

そのくすぐったさに思わず顔を左に向けた。

『おにーちゃん、どっかいたいの？』

心配そうに首をかしげてオレを覗き込んだのは

クリッとした黒目がちの女の子。

『いたくてないてるの？』

『えっ…』

そう言われて初めて
頬が涙で濡れていたことに気付いた。

手で拭おうとすると

『こすっちゃダメ～。ミウがふいてあげるっ』

斜めがけのピンクのポシェットから

ハンカチを出して拭いてくれた。

『ミウちゃん？ありがと。
お兄ちゃんどこも痛くないから大丈夫だよ』

そう言って頭をポンポンした。

『じゃあ、だれかとバイバイしたの？』

…空港だから、ね

『違うよ。
大事にしてたものがなくなっちゃったんだ。
探しても見つからなくて、それで…』

『ねぇねぇ、それってこれかなぁ？』

心臓が止まるかと思った。

なんでここに…

小さい手に乗せられた時計。

紛れもなく、探していたオレの時計だった。

『なんで…』

『ママにいわれたの。ミウがここにくることいったら、もっていってあげてねーって。さがしてるひとがいるからって』

ちょっと…話がよく分かんないんだけど

『…その、ミウちゃんのママはどこにいるの？』

『いつもいっしょにいるよ？
でもきょうは、じぃじといっしょなんだぁ』

そ、そっか…

『はい、これあげるね。
ココ、おそらみたいできれいー♡』

スカイブルーの文字盤のことかな。

…ん？

……うそだろ

『ミウちゃん、ここ触った？』

『えー、なにもしてないよぉ。
これ、おにいちゃんのおたんじょーび？』

『あ、うん…そう』

…そうなんだけど

『ミウちゃんのママのお名前はなんていうの？』

聞かずにはいられなかった。