雨夜の星 *Birthday present* (ページ30)

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夢のようなページ30

「おやおや、これは」

優しい声にハッとする。

A「住職…さん」

霊園のど真ん中で抱き合うオレたちは
明らかに不自然。

この状況下に焦って離れようとするAと、
離れることが怖いオレ。

思わずAの腕を掴んだ。

住職「中で話されてはどうですか？」

・

・

「どうぞ。外は暑かったでしょ～。
足、崩してもいいからね」

「すみません、急におじゃまして」

「いいのよ～。
主人に聞いてから待ってたのよ？ふふふ。
ゆっくり使ってくれていいからね、ここ」

「ありがとうございます」

Aもペコッと頭を下げる。

住職の奥さんが
冷たいお茶とお菓子を用意してくれてて
それをいただきながら考えた。

何から話そう
何から聞こう

死んだと思ってた人が生きていた。
普通なら、取り乱しててもおかしくないこの状況。

Aを目の前にしてもまだ信じられないでいる。

Aが亡くなった悲しみを
2年間どうにかやり過ごしてきた。
自分を保つことに必死だった。

何でこんな事したんだって、
怒ってもいいくらいだと思うんだけど、

そんな気持ちは全く起こらなくて
むしろ喜びでいっぱい。

だからかな。
まだ夢なんじゃないかって思うのは。

オレとは逆に
辛そうな、今にも泣きそうな顔のA。

「…A、大丈夫？」

A「…うん」

「話せる？」

A「…ん」

「ゆっくりでいいから…聞かせて」

ふぅっと、深呼吸したA。

「………2年前…」

ポツリポツリ

あの時のことを話し出す。