雨夜の星 *Birthday present* (ページ25)

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かすみ草とひまわりページ25

『狐の嫁入り…』

景色を眺めながら
Aに教えてもらった雨の名前を呟いた。

2日前にも訪れた霊園。
露に濡れた紫陽花が彩良く咲き誇っている。

いつのまにか雨は止んでいた。

オレの手にはかすみ草の束。
Aが一番好きだった花。

もう一つはミウちゃんの誕生日プレゼント。
ひまわりのヘアゴムとお揃いになりそうな、
ひまわり柄のハンカチ。

涙を拭いてくれたハンカチは
オレの手元にあるから、
プレゼントというよりは、交換かな。

・

・

『また来たよ』

ロウソクに火を灯し、まずは挨拶。

目を開けて
墓石に刻まれたAの名前を撫でた。
その隣に並ぶミウ…、美雨ちゃんの名前も。

ここに来るまでの時間、
Aとの日々を思い出してたんだよ？

最後にAと過ごした誕生日が
君との一番の思い出だって言ったら怒るかな。
本当に幸せだった。

昨日、君との思い出の時計をしてる女性をヒョンが見つけたんだけど、本当に君なんだろうか。

オレもね、一瞬だけど客席でその女性を見たんだ。
時計は見えなかったけど、なぜかAかもしれないって思った。このオレの勘、できれば当たってほしい。

そう願いながらも
ここに刻まれた名前を見ると
やっぱりAはここにいるんだという現実。

オレより舞い上がっちゃってるヒョンに、やっぱり勘違いでしたって言うのはかわいそうなんだけど(笑)

『…ふは』

想像したらなぜか笑えた。

蒸し暑い。

生暖かい風が頬を撫でた。