雨夜の星 *Birthday present* (ページ20)

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青空ページ20

タクシーから眺める景色。

真っ青な空だったのに、
次第に雨が降ってきた。

そういえば
Aと出会ったのもこんな日だったなぁ。

・

・

「いらっしゃいま…
わ！！大丈夫ですか！？」

「…少しだけいいですか？」

ずぶ濡れで入ってきたオレに嫌な顔一つせず
奥からタオルを何枚も持ってきてくれた店員さん。

スラッとしてて、束ねられた栗色の髪。
透き通るような白い肌にクリッとした丸い目。

差し出されたタオルに気付かないくらい
彼女に見入ってた。

「あっ、すみません」

「他に誰もいなくて良かった^^
風邪ひかないように早く拭かなきゃ！」

「あぅ、、イテッ」

「ごご、ゴメンなさい！」

「……(笑)」

優しい口調とは反対にガシガシ力強く頭を拭かれて
そのギャップに思わず笑った。

・

「どうぞ～」

「あざーっす……うわっうめー」

「うふふ、良かった」

いつもならコーヒーを頼むオレだけど
今日は彼女にオススメされたミルクティ。

優しい味で、冷えた体を温めてくれた。

「日本ではこういう雨を狐の嫁入りとか天気雨って呼ぶんですよ？今日のは振り方が強いですけど」

「へぇ～。雨にも名前があるんだ」

「そう。だから好きなんです、雨。
今日みたいな出会いも運んでくれるし、
別れも綺麗に流してくれる気がするから」

「……そう言われればそうかも。
実はさっき、彼女と別れたんスよ」

「えええっ！？」

「オレの仕事、あと少ししたら激変するんすよ。
だからしばらく会えないけど待っててって言ったらこれ以上寂しいのは無理だって。
…って、こんな話してすみません」

「だ、大丈夫大丈夫！」

「ふはっ。
でもさっきの雨でそのモヤモヤも流されたし、
ここへもたどり着いたんスよね。これが雨の力？」

「ふふふ。そうかもしれませんね」

しばらくの時間をそこで過ごした。

彼女は歳が1つ上で、話も合って、
オレのことも知ってた。

名前は島岡Aさん。

少しして上着が乾いたから
そこにいる意味もなくなった。

「また来るね」

「お待ちしてます^^」

そう言って店を出た。

店を出ると晴れやかな青空。

さっきの雨が嘘みたいだった。

これが君との出会い。