雨夜の星 *Birthday present* (ページ2)

今日:37 hit、昨日:0 hit、合計:125,032 hit

涙雨ページ2

どのくらいここにいたんだろう。

ぼんやり考えていた時間が
思いのほか長かったみたいだ。

いつのまにか雨は少し弱まってて
空港も心なしか静かになっていたことに気づく。

雨が止めばフライト時間も決まるだろう。
そろそろ戻らないと…

そう思って、自分の左手首に目をやる。

『あっ…れ？』

……ない。

腕時計がない。

家に忘れてきた？

…いや、ラウンジにいたときにはあったはずだ。

けど一応、オンマに電話してみる。

母『ちゃんといつもの場所ではめてたじゃない』

だよね。
忘れるわけがない。

日本に行くときは毎回、君に想いを馳せながら
腕に巻いてるその時計。

・

どこで失くしたんだろう。

外した覚えがなくて、見当がつかないけれど
歩いて来た道を急いで戻る。

とりあえずありそうな場所を隈なく探す。
けどどこにもなくて。

『くっそ…』

背中に冷たい汗が流れた。

途中オレに気づく人が何人かいたけど、
正直それどころじゃなくて…

それくらい焦ってた。

だってその時計は、君との唯一の繋がり。

失くしたくない、君との思い出だから。