赤 と 緑 の 愛 情 。

二 人 の 幸 せ 。 ページ25

同棲を再び始めて
ちょっとした軽口なんか叩いたりして

幸せ、なんて抽象的やけど絵に描いたらこんなんやろうな。
そんな日々を送る。





どうやら二宮君も大野さんとヨリを戻したらしい。

そう聞いた時、少し胸が痛んだのはお兄ちゃんを取られるような気がしたから。


二宮君とは、二宮君が大野さんとヨリを戻してから一回も会ってへん。

それはお互いがあえてそうしてる。
俺らの距離はどうやら近すぎるみたいやから。

もちろん二宮君は大切な人やけど、大切にしすぎて、死ぬほど好きな人を傷付けるなんかごめんやもん。







すばる君の真っ黒な瞳に捕らえられると、たまに思い出す。

二宮君の色素の薄いあの瞳を。琥珀みたいな色を。

もう会えへんのかな？
二宮君が本屋にも来うへんくなった。
まるで俺らは生き別れた兄弟。







渋「めっちゃ眉間にしわよってんで。何かあったん？」





ぐ、と人差し指で眉間を押される。





「んー、ちょっと頭痛いだけ」

渋「おまっ…風邪やんけ！」





ズサアッと凄い勢いで俺から遠ざかってくすばる君。




「いやいや、ソコは『俺のキスで治したろか』やろ」

渋「は？前それしたらお前『移るからやめて』って言うたやんけ」




傷付いたんやからな！と抗議するすばる君は、俺より大人なはずやのに子供みたい。

くすって笑うとすばる君は真っ黒な瞳を濡らした。






渋「…『キス以外ならしてエエんやな』」




ひっ…
破壊力やば。何ですばる君ってこーゆー台詞が似合うんやろ。

心臓が壊れそうで思わず無言になる。






渋「お？無言は肯定やけどエエの、お前」






すばる君はツーっと唇を指でなぞった。

色気、出しすぎちゃう？








渋「…やーめた」




え
勝手にその気になった俺可哀想。






渋「はは、物欲しそうに見んなや。我慢出来ひんやろ？」

「…我慢出来ひんくてエエんやけど」





呟くとすばる君は驚いたように短く笑った。




渋「俺、こう見えても病人は食わへん主義やねん」

「何で」

渋「熱あるやん？いつもより感じやすいし、吐息が異常にえろいねん。健康な時より激しくなんねん」

「…変態」




…でも、そうされてみたいな。なんて





渋「薬飲んで眠り」





柔らかいベッドに沈む。
これはいつか見た夢みたいな景色。
俺の望んでた幸せ。

幸せは崩れるモンや。絶対この幸せを永遠にしてやるもん。




***
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