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岩田side


僕も今まで恋をしたことがないかと問われたら嘘になる。


ただ、小説やドラマで描かれている
辺りを燃えつくすような儚い恋ではない

どこにでもあるような普通の恋愛


故に、親の反対を押し切ってまで一緒になりたいと思った子なんていないし、所詮遊び


仮にそんな話を彼女にしたら
きっと軽蔑の対象として見られるんだろう

女の子には恋や愛は美しく綺麗な
それはまるで一種の芸術作品のように写ってる


その芸術作品をどんな形にせよ
踏みにじろうとしてる僕は邪魔者でしかない



ここまで長く自分の恋愛観を語ってきたが
詰まるところ言いたいことっていうのは

彼女には直人さんとあやふやな関係のままではいて欲しくない



これは彼女の為に言ってる綺麗事じゃなくて
むしろ欲にまみれた言葉

相互の会社の為にも僕らの婚姻はなくてはならないのは明白だから、出来るだけ良好な関係でいたい


それを邪魔する障害は
少しでも減らしたいというのが僕の本心



剛「 直人さんは今も一之瀬さんの所で働いているんですよね? 」


健「 辞めてない限りそうやと思います 」


剛「 分かりました 」



看護師「 一之瀬さんの付き添いの方お入りください 」


健「 あ、はい 」


看護師さんに呼ばれ診察室に入る

そこに彼女は居らず、病室に戻ってるらしい



隆「 検査したら特に異常はなく、大きい病気の心配もない 」


健「 良かった … 」


隆「 腹痛自体はストレスからきたものだと思う 」


健「 ストレス? 」


隆「 何か思い当たることはある? 」


健「 ま、ないって言ったら嘘になるな 」


隆「 それを出来るだけ取り除いてあげるのが、今出来る得策かな 」


健「 ちょっと色々考えてみるわ 」


隆「 うん、薬は幾つか出しとくから。心配だったらしばらくは入院させることも出来るよ? 」


健「 じゃあ、あと何日かだけ 」


隆「 分かった。経過観察ってことにしとく 」


健「 すまんな 」



診察室を出てもなお
浮かない顔の健二郎さんに尋ねる



剛「 思い当たることって直人さんのことですか? 」


健「 多分。前にも直人さんのことで体調を崩したことがあったんです 」


剛「 そうですか …
あと、すみません。今日はこれで失礼します 」


健「 分かりました、お嬢に伝えときます 」


剛「 お願いします 」



よし、決めた!直人さんとこに行こう

このままじゃAちゃんが大変なことになりかねないし、元気になってもらいたいからね

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作者名:優人 | 作成日時:2017年8月10日 1時

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