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「…… うん 」
『一緒にファミレス来るの久しぶりだね』
「だな。俺も思ってた。高校生ぶり。よく話したよな」
『そのせいで帰りが遅くなって怒られた』
共有できる思い出話。
蓮といると懐かしい話が出来て楽しい。
俺らっておんなじ気持ちだよな？
『佐久間くん？』
「あ、ごめん。どした？」
メニューを眺める蓮をぼうっと見てるのに気づかれて、なんでもないよと取り繕う。
『どうかした？なんか、考え事してる？』
「何もないよ？」
『言いたい事あんならなんでも言えって言ったの、佐久間くんんだよ？ 言っていいんだよ？』
まんまこの前とおんなじやり取りに苦笑する。
わかった、言うねと伝えて、
「あのさ、ずっと気になってたんだけど、」
『なに？』
「声で喋らないの、なんで？
元々聞こえてた人だと声で話す人が多いって聞いたんだ。蓮はなんでかな？って。
あ、声出して、ってことじゃなくて、
俺が手話わかんない時、わざわざ繰り返したり文字打ったりめんどくさいかなって思って」
俺の話を聞いている間、次第に蓮の表情が曇っていくのがわかった。
そして、スマホを上着から取り出して文字を打つと、
画面を見せた。
『……… この時間がもどかしいから声で話せよってこと？』
文章を読んでハッとする。
「ちがう、そんな事思ってない。
理由があんのかなって思っただけ」
怒らせた。
でもちがうって分かって欲しい。
「れん … 、」
手話じゃなくて、またスマホに文字を打つ蓮。
悩んでるみたいに考えて、少ししてからスマホの画面をタップして裏を向けるとテーブルに置いた。
『… 手話があれば十分ってだけだよ。翔太くんとしか話さないから声が必要ないってだけ』
今度は手話で話してくれて、
「そっか。わかった。
もっと手話分かるようにがんばるよ。… ごめんね」
謝る俺に蓮は首を横に振る。
そのあとは普通に話せてたと思う。
だけど、
お互いぎこちなさを感じながら、俺は自己嫌悪に押しつぶされそうになっていた。
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作者名：chugi
| 作者ホームページ：
作成日時：2023年2月4日 21時
