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佐久間くんとまた会うようになった。


懐かしくて気兼ねなく付き合える唯一の人。


病気がわかって悲しませたくなくて別れを告げたあの時の自分が今の自分を知ったら、きっと後悔しかないと思う。

どちらにしろ佐久間くんを悲しませたに違いないけど、今だからそう思える。

日々耳が聞こえにくくなる中、同時に俺の心も塞ぎ込んで行ってしまって、家族にはひどく心配を掛けてしまった。

人とは違う。

そう変わってしまう自分が嫌だった。

何度も昔に戻りたいと思った。

健康で、純粋に佐久間くんが好きだったあの頃に。


だけど、そんな願いは叶うはずも無く、諦める事に慣れるしかなくて、佐久間くんから離れた事は正しかったんだと思い込もうとした。


大丈夫。

あの頃の思い出は色褪せない。

俺は忘れない。

そう、手離さなきゃお互いが苦しいだけだから。



そして、再会して改めて思い知った。

近づかないようにって、あの頃と違うんだからダメだって。

なのに、佐久間くんのそばは居心地が良くて離れたくないって認められない気持ちが苦しかった。

距離を取ればなんで?と問われ、離れたら気になる。

変わらない佐久間くん。そんな佐久間くんが変わらないよと言ってくれた。

そうして、佐久間くんのそばは居心地が良いって思い知るんだ。

思い知って、離れたくなくなる。




「蓮、こげちゃうよ」


一緒に食べたお好み焼きが美味しかったので2人してハマってしまった。

慌てて鉄板のお好み焼きをひっくり返す俺に佐久間くんが笑ってる。



「上手になったね。最初は店の人にやってもらってたのに、上達してる」


『店、出せるかな?』


「お店の人に聞いてみる?」

『やだよ、恥ずかしい』

「にゃははっ。俺も恥ずかしいわ」


佐久間くんのお皿に焼けて切り分けたお好み焼きをのせる。


「ありがとう。…あ、 蓮 」


『 ? 』


「携帯、鳴ってる」


言われてテーブルに置いていたスマホを見ると、翔太くんからだった。

ラインじゃなくて、着信。


どうしたんだろ?

電話に出るにも話せないんだから悩む。


心配気に見つめる佐久間くんにスマホを渡して、


『何かあったのかも知れないから、代わりに出てもらってもいい?』

「え?… わかった 」


受け取った佐久間くんがもしもしと出てくれる。


「…… 切れちゃった 」


『そっか。ごめんね、ありがとう』



なんだったんだろ?


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作者名:chugi | 作者ホームページ:   
作成日時:2023年2月4日 21時

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