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「… もしもし、今電話大丈夫？」
「うん。大丈夫、だよ」
久しぶりに聞いたふっかの声。
いつもと変わらない口調に、離れているのが嘘のよう。
「忘れ物があって、家に。
これ、佐久間のボールペンなんじゃないかなって」
「ボールペン？… 青色のやつかな？」
「うん、そう。仕事で使ってるやつなんじゃないかな？」
「あー、そういえば見当たらないから新しいの買ったわ。にゃは、捨てちゃっていいよ。安物だし、確かインクもそんな無かったし」
「そっか。わかった」
「でも、ごめん、やっぱ取りに行こうかな… 」
会いたい。
「…… 佐久間 、」
静かな、拒否するようなふっかの声に、ハッとする。
そうか、… だよね。
ふっかにはもう俺の気持ちはないんだって分かってしまった。
「── わざわざ、ごめん。いいよ、捨てて。
そんで、またなんか俺のもの出てきたら捨てちゃって」
「うん、でも大事なものとか貰い物だったら悪いなって思ったんだ」
「大丈夫だよ。気にしないでいいから」
「そう… わかった。
じゃあそれだけだから、切るね」
「あ、あー… 、」
「ん？」
「 …よく寝て、よく食べてる」
「うん」
「なんなら夜食も食って二度寝だってしてるし、余裕で元気」
これからそうするからさ。
だから。
なんでも無い振りさせてよ。
「今だってこれからにんにく増し増しラーメン食うの。ふっかは？」
「俺も元気だよ」
「うん。良かった」
「… じゃあ、切るね」
やだ、まだ、もう少し。
「ねぇ、俺らってもう別れてる？」
「うん。別れてるね」
「… そっか。そうなんだ 」
ふっかの中ではもう終わってるんだね。
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作者名：chugi
| 作者ホームページ：
作成日時：2023年2月4日 21時
