ロイヤルミルクストーリー (ページ10)

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開店前のミーティング、新しいメニュー開発に何かアイデアがないかとマルさんが提案して来た。

「えっと、その前に長らく不在やったもう1人の従業員を紹介しやなあかんな。
たっちょん、この子が新しく入ったバイトの佐野くん」

ひょいっとバックヤードから出て来たのはさっき思いっきり水を掛けてしまったあの人やった。

「店内ではギャルソンしてくれてるたっちょんこと大倉くん。て、初対面やなかったんやね」

マルさんの言葉に章大さんが肩を揺らして笑ってる。

俺をジロリと睨む無表情の大倉さん。

正直怖い。でも、負けないっ。

「さ、さっきはどうもすみませんでしたっ、佐野です！よろしくお願いしますっ」

頭を下げてなんとか言えた！

けど、怖い。何も言わない大倉さん。

「ほれ、たっちょんスマイルスマイル」

「おーくら目が死んでる」

マルさんと章大さんが面白がってるのがわかる。
やめて、マジ怖いんやって！

「 …… よろしく」

ひょえーーっ！

全然よろしくって思ってないよね！

「まぁ、挨拶も終わったし、本題に戻るね。
たっちょんが仕入れてきてくれたマンゴー試食したんやけどめっちゃジューシーやったなぁ。あれは章ちゃんやっぱスムージーはええ案やと思うわ」

「うん。あとな、かき氷も良くない？」

「章大さん、かき氷ええかも！」

ナイスアイデア！

「なら、この夏はこの完熟マンゴースイーツで決まりやな。そしたらもう少し取り寄せの数増やすで」

「頼むわ、たっちょん。でもな、もうちょい捻りが欲しかったりするんよ」

「たとえばどんなん？」

「シーズンフェアだけやなくて、定番メニューに組み込めるよーな… 」

「新作やな」

「ヤス、なんかアイデア浮かんでるん？」

「まぁ、色々考えてはいるけど… 正直パッとせんねんなぁ」

うん。

営業終わっても章大さんが遅くまで残って色々作ってるの知ってるよ。

内緒やでって、マルさんに口止めされてるから言わないけど。

だから、俺なりにも考えてた。

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