WASABI

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久しぶりに会えたと思ったら、大倉の話ばかり。

正直、うんざり。

でも、章 大に会えることは嬉しい。

「大倉って、女友達も多いし、この前も告られてたし。最悪やろ、偶然見てしもてん。ほんま、タイミング悪すぎやってなぁ」

「章ちゃんと付き合ってるんわかってないん？そいつ」

「大倉はモテるからしゃーない」

「なんや、それ！大倉はハッキリ断ったんやろな？」

「おん。何？亮、こわいって」

「章ちゃんおんのに、のこのこと告られてる大倉に腹立ってんねん！」

困った風に章 大が笑う。
その顔もかわいいからもおたまらんし、許してしまうのだ。

「…章ちゃんは大倉に甘いねん」

「やって、好きやねんもん。しゃーないわ」

先に惚れたもんが負け、やなんて。
どっかで聞いたことのあるフレーズ。

それ、俺もやなぁ。

「亮やから、話してんの。亮は僕の幼馴染みやろ？甘えられるん亮だけなんや」

はあ。
確信犯やで、章ちゃん。

「はいはい、俺はやさしい幼馴染みやもん。章ちゃんのグチはなんぼでも聞いたるよー」

ふざけた口振りで笑うけど、ほんまはめっちゃ切ないんやで。

「ありがとうなー。今日は僕の奢りやから、いっぱい飲んでな」

「おん」

でも、最終酔っ払って寝てまうの章ちゃんやし。

章 大のかわいらしい寝顔を眺めながら、

今夜もおんぶコースやなぁと亮は思った。


……全然、ええねんけどな！


その時、タイミング悪く鳴る章ちゃんのスマホ。画面を、見ると、大倉の文字。

「………はい」

「？、誰？」

ものくそ機嫌悪そうな大倉の声に、亮の声も低くなる。

「錦 戸や」

「なんや、亮ちゃんか。もしかせんでも、ヤス潰れてる？場所教えて。迎えに行くわ」


近くで飲んでて良かったな。
数十分後に大倉はやって来た。

「ありがとうな、亮ちゃん。ヤス、起きいや？迎えに来たで」

「まあ、ええやん。久しぶりやねんから、おまえもそこ座って飲んだら？そのうち章ちゃんも起きるやろ」



「……そやな。亮ちゃんと話したいなって俺も思ってたし」



どこか挑むような大倉の目に、亮も受けて立つと言わんばかりの視線を投げつけた。






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