perfect world 3

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そうして、

元の鞘に収まるよりももっと深い絆で繋がった俺たちは普段の生活を過ごしながら、着々と章大の渡米準備を行っていた。



出発は8月。

今から10日後には章大は俺の側からいなくなる。


寂しくないと言えば大嘘になる。

でも、それでも章大の望みを叶えたい。

それは俺の望みでもあるから。


離れる期間は手術を終えてからのリハビリも兼ねて約２年。

長い。

だけど、休みが出来たら必ず会いに行くし、毎日連絡もする。

絶対寂しい思いをさせんようにする。

そう、章大と約束した。


だのに、出発が近づくにつれ章大の元気が無くなってきてる気がする。

具合が心配で、今日主治医に診て貰いに病院へ行っているんやけど、まだ掛かっているのか連絡はない。




「心配症の彼氏を持ってヤスくんもほんま幸せやなぁ」


揶揄する横山くんからこれ飲んで落ち着けってコーヒーの差し入れ。


「ありがと」


「出発までまだ日があるねんやろ？送別会はせんの？」

「余計に寂しくなりそうやん。するなら戻ってからがいいかなって」

「そうやな。快気祝いの方がいいもんな。仕事の方は一旦休職扱いやってすばるが残念そうに言うとったわ。もしかしたらあいつが一番寂しいのかも知れんよな」

「渋谷さんは章大の理解者のひとりでもあるから… 」

「まぁ、行く前に飯でも食おうや。ヒナにも連絡入れるし」


「うん。マルにも連絡入れてみます」


「… お前は？どうもない振りしてるけど大丈夫なんか？」


「 …… 寂しいよ。でも、ずっと離れる訳じゃないから」


「 そうか」


俺はもう一度うんと頷く。


それはまるで自分に言い聞かせてるみたいに。





その日の午後に章大から連絡があった。



「長引いてたんやな。疲れたんとちゃう？」

「おん。検査があったから… 」

「検査？なんのなん？」


やっぱり元気がない章大の声に心配してしまう。


「大した事ないんやけど、いつもより免疫力の数値が低いのが気になるから念のためやって。結果は来週に出るからまた病院に行かないとあかんねんけど」

「そっか… 、でもちゃんと診て貰っといた方がいいもんな」

「なぁ、今夜うち来れる？」

「うん。週末やから行くつもりにしてるで」

「じゃあ、待ってる。何食べたい？用意しとくよ」

「え、疲れてるねんからそんなんええよー」


めっちゃ嬉しいけど、


「俺が調達して行くから、章大は少しでもゆっくりしときな。その方が俺も安心するし」


「 … ふふ。わかったぁ。ありがとう」


通話を終えて気合いを入れる。


絶対定時に上がる！


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