無限大 short 2

恋しくて愛おしい 6 ページ39

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目を覚ますとカーテンの隙間から入る光りにもう朝だと知った。


ベッドに大倉は居なくて、ゆっくりと体を起こすと気怠さからまだ中にある違和感に眉を顰めた。


起き上がるのにまだ少し時間が掛かりそうな事に自嘲する。

泣き過ぎて目が腫れぼったい。

今日は仕事が無くて良かったなんて、

大倉がいない事にも。



太腿の内側に乾いてこびり付いたどちらかの精 液に気づいて爪で擦る。


ぱらぱらとシーツに落ちて、洗濯物せななぁって 水滴がシーツを濡らして…… 、自分が泣いている事を知った。



辛い痛いしんどい寂しい。

どれも当て嵌まってでもどれもじゃない。


悲しい。

そう、悲しい。


何に？


わからへん。

全部、全部に悲しい。全部が悲しい。



身動ぐと中から残骸が肌を伝って、また泣けてきた。


こんなんじゃなかったのになぁ。


こんな女々しいの、女の子やないやから失うものなんて有りはしないのに。


そばにいて欲しいのに、いなくて安心してる。

空っぽの中身。

生産されない体。




のそりと汚れたシーツごと身に纏ってバスルームへ向かう。


そのままシャワーを浴びて、

何もかも洗い流せたら、少しは楽になるんだろうか？


洗ったシーツを洗濯機に入れて、髪をタオルで拭いながら勝手知ったる冷蔵庫の中から炭酸水を出す。


“これヤス好きそうやから”


ずっと前の事やけど、今も覚えてる。

雑誌のインタビューの時に出されて飲んだら美味しかったんって、
嬉しそうに笑っていた大倉の顔を見て俺もとても嬉しくて、

ああ、やっぱ好きやなぁって改めて思って、


この笑顔を失わないように俺は絶対自分の気持ちを悟られないようにしようと決めていた。


俺たちは親友で、メンバーやから。


大倉は普通に年相応になれば好きな女の子と結婚をして、幸せな家庭を築いて子供にも恵まれるんだ。


そう信じていた。



なのに、どこをどう間違えて俺なんかを。



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