無限大 short 2

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「じゃあ、俺がこれ飲み終わる前にもう一杯だけ頼んだら？そんでお開きな 」



どんだけ甘いねん、俺。


「おん、そうする」


微笑むその顔、見たかったやつ。

ああ、くそ。

可愛いよな。

あざといのそこも可愛いの参る。


直ぐに運ばれて来たビールをヤスが取る前に俺の飲み掛けとすり替える。


「なんでやねん」

「半分だけにしとき。まだ冷えてるしじゅうぶんや」

「そやったら俺の飲み差し飲むんが普通なんちゃうん？」

「ふははっ、気にすんなやー」


いやいや、気にするやろって笑ってグラスに口付けるん素直なとこも好き。


あー、なんこれ。

一緒にいたいけど、いたくない感じ。


好きが溢れ出す。

弱ってるこいつをどうにか出来ないかとやましい気持ちが腹の奥底でぐるぐる回ってる。

でも、これは今気付かれて良いものじゃない。


そんな俺を知る由もないゆったりとした店内の雰囲気の中、同じようにヤスがあんなぁ〜って話し出す。


「おーくらの映画観てさぁ、おーくらってこんな風にエッ チすんねんなぁって思ってしもうたんよ」

「ふはっ、お前そんなん想像すんなよっ」

「や、でも世の中の人らはそう思うやろ。そんでお前に抱かれてる気持ちになるんちゃうん？」

「そんでヤスくんもそんな気持ちになっちゃったん？ 」


それなら嬉しいんやけど。
だって、望みがあるってことやろ？
もしかしたら。

なんて。


「… はは、身内みたいなんやで？恥ずかしくなってしもたわ」


ほら、予想通りの答え。


わかっていたけどさ、くそ。



「… 演技やし。ほんまならもっともっと甘くて濃厚やし」

「いやーっ、聞きたないっ」



笑うヤスに俺も笑う。

本心は言わない、もちろん。



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