しょーたのお暇

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ベランダでの一件以来、

お隣りのタエコちゃんとの距離はぐっと縮んで、

学校からの帰宅後は時間が合えばうちに遊びに来てくれるようになった。

今日はカラフルな毛糸を持ってきて、


「最近、あやとりにハマってたん。けどな、もう作るものがなくなって飽きてきて … 、
しょーたなら他にどんな楽しいこと考えるー？」

「毛糸かぁ … 。そやなぁ、あやとりは俺もひと通り出来たら飽きてしもた記憶が。
あ、これなんかどうやろ？」


みかん箱に3本にした毛糸の先をタエコちゃん家から持ってきてもらったセロハンテープで止めて、軽く引っ張りながら編んでいく。


「 え、これミサンガ？」


カラフルな色やからかわいいし、毛糸も細いのやから上手い具合に編めた！


「長めに編んで髪に結んだら、リボンにもなるし」

もちろん、ミサンガとして手首や足首に付けてもかわいいよ！ って、


そう言う俺にタエコちゃんの目はキラキラと輝いていて。


「わぁ、ほんまかわいいっ！編み方教えてー！」


友達の分も作ってあげたいっ！て、めっちゃ喜んでくれた。



ピンポーン



「 ？ だれやろ？ 」

夕方のこの時間に来客なんて珍しい。


「パパかも！」

「え？」


ドアを開けるタエコちゃんの後ろから訪問者を見ると、小柄で細身の作業着姿の男の人。


「早かったんやね、おかえりなさいっ」


わぁって喜ぶタエコちゃんに、

この人がお父さんなんや！ って、呆けてしまった。


「こ、こんにちは」


「いつもうちのタエコがお世話になっててすんません」


「いえ、そんなお世話なんて 」


目ヂカラのある人やなぁって、見つめられて緊張。



「すば るー っ！これ見てっ！かわいい？」

嬉しそうにミサンガを見せるタエコちゃんに、



「こら、人前ではお父さんって呼べゆーてるやろっ」


「 ？ 」


「あっ、ごめーんっ」

テヘヘ と笑うタエコちゃんの頭をくしゃりと撫でて、にっ と笑う。


そして俺を見て、



「しょーた」


「 ！ 」



「俺はすぐにお前がしょーた やとわかったで？」





そう、言った。




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