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次の日。
昨日来たばかりのてつやの家に、またやってきた。
恐る恐るチャイムを鳴らす。
り「…あれ、A?」
出てきたのは、りょうくんだった。
『ごめんね、いきなり』
り「大丈夫だけど、どうしたの?」
『携帯忘れちゃって』
り「あぁ。なるほど」
家に入れてもらって、まっすぐ机に向かう。
『あったぁ〜』
り「よかった」
りょうくんは、にっこり笑って私の頭に手を乗せた。
笑顔が輝いてるよりょうくん。
『じゃあ、私…』
り「あ、朝ご飯食べた?」
帰ろうとする私に、りょうくんが声をかけた。
『え、まだ…』
落ち着かなくて、起きてすぐに来た。
り「美味しいパン屋さんでパン買ってきたんだけど。そういえば今日メンバー来るの遅いんだよね」
『そうなんだ』
言われてみれば、お世辞にもいい匂いとは言えないこの家から、今日はいい匂いがする。
り「食べてきなよ。一人じゃ食べきれないし」
笑顔のりょうくん。お言葉に甘えることにする。
『ありがとう』
なんだかお高そうなコーヒーまで淹れてもらって、てつやの家にイタリアの空気が流れる。
『おいしい〜!』
り「でしょ?」
頬杖をついて、私をにこにこ眺める。
『ていうか、てっちゃんは?』
り「あぁ、なんか用事でどっか行ったよ」
『そうなんだ。良かったりょうくんいて』
り「うん。俺も早く来てよかった」
優しい。
り「としみつとは、順調?」
『うん!』
り「としみつ、大好きだもんねAのこと」
『うん。なんで、あたしなんかをこんなに大事にしてくれるのかわかんないけど』
り「そう?俺は分かるな、としみつの気持ち。中身も外見も可愛いもん」
ちらっとりょうくんを見る。
笑顔でコーヒーをすすっている。
さらっとそういうこと言うの、りょうくんらしい。
り「としみつ、めちゃくちゃ忙しいでしょ?」
『そーだね、忙しそう』
り「寂しいんじゃない?」
りょうくんの問いに、そんなことないよ!と、すぐに言えなかった。
寂しい、かぁ。
としみつが忙しいのは、私にとって嬉しいことで、応援したいことだった。
寂しいなんて、思っちゃいけない。
自分の中のその感情に、気づかないようにしていた。
『…わかんない。でも、としくんが頑張ってるのは嬉しいし、応援したい』
り「えらいね、Aは」
そのあとも他愛もない話をして、美味しいパンを食べ終わっててつやの家を出た。
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にじます - 見ててめっちゃキュンキュンしまくりでした!としくんがとにかくカッコよすぎました!ありがとうございます! (2021年1月29日 2時) (レス) id: a756719d9f (このIDを非表示/違反報告)
ちょんみる - またそれかよ。からの、一生推してろ。で胸がぎゅん!ってなりました…泣 完結までお疲れ様でした! (2020年6月1日 23時) (レス) id: 8b6be204f6 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 素敵すぎました……思わずスクロールして続編探してました笑 (2019年12月15日 3時) (レス) id: de131514da (このIDを非表示/違反報告)
ワイ - あー!終わってしまった、、めっちゃ良い作品でした!ありがとうございました!プロポーズ後の、物語みたいです! (2019年7月27日 0時) (レス) id: 66a772a320 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっちゅ(プロフ) - ももねさん» ありがとうございます〜!!続編…ネタがたまったら挑戦してみたいです!! (2019年7月24日 23時) (レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅっちゅ | 作成日時:2019年7月12日 1時