俺の彼女はガチ恋勢【東海オンエア】

#29 ページ29

【 りょう side 】



焦りすぎたなぁ。

ふられちゃったじゃん。

わかってたけど、結構きつい。



Aを乗せたタクシーを見送った後、まっすぐ家に帰る気になれなくて。

そのまま近くのバーに入った。

すでにくらくらしてる体に、強めの酒を流し込む。

やけ酒とか。だっさいなぁ。



カラン、と氷の入ったグラスを揺らす。

後ろで、店のドアが開く音がした。

「やけ酒？だっさ」

ミキちゃんが、腕を組んで俺を見下ろしていた。

さっき、ミキちゃんから怒った声で電話がかかってきた。

説教するから居場所を吐けって言うから、ここの場所を伝えてあった。



り「ださいんだよ、俺は」

俺の隣の椅子を引いてやると、ミキちゃんがそこにどかっと腰を下ろす。

「私の友達困らせるの、やめてくれない？」

り「君の友達、俺を惚れさせるのやめてくれない？」

「そんなに惚れちゃったんだ？」

り「…相当」



空になったグラスにおでこを乗せる俺を見て、ミキちゃんがため息をつく。

「無理だって、わかってたでしょ？」

り「わかってるよ。止めれるもんなら俺も止めたい」

結局俺は、Aを困らせて、としみつを不安にさせただけで。

なにやってんだろう。



頭がクラクラする。

正直、そこからの記憶があまり無い。

ただ、愚痴る俺の話をずっとミキちゃんが聞いててくれたってことだけ。

うっすら覚えている。





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