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【 A side 】
ピンポーン。
夢の中で、チャイムが鳴る音がする。
宅急便かな…もうちょっと寝かせて…
聞かなかったふりをする。
ピンポーン。
また鳴った。
無理やり体を起こして、確認もしないでドアを開けた。
…あれ、まだ夢の中かも。
ドアを開けると、目の前に推し。
わぁ、超いい夢。
『としくん』
なんだか、怒った顔してる。
としみつは、玄関に入って、後ろ手にドアを閉めた。
何も言わずに、私の手を引いて、抱きしめられる。
いい匂い。
ん?
これ、夢じゃないぞ。
『…どーしたの?』
と「どーしたの、じゃねえだろ」
やっぱり怒ってる。
と「俺に言ってないことあるでしょ」
『ん?』
私の体を離して、下を向いたまま言う。
と「なんで、りょうが知ってて俺が知らんの」
どきっとする。
りょうくん、喋ったの?
としみつは、黙る私の手を引いて部屋に入る。
私をソファに座らせて、隣にとしみつも座る。
と「俺のファンに、いじめられたって?」
『いじめられたっていうか、顔バレしてたってだけ』
と「なんで言わんの?」
『…言う必要ないかなって』
としくん、今日撮影日だよね?
撮影放り出して来てくれたの?
会えて嬉しい気持ちは、また仕事の邪魔をしてしまった、って気持ちにかき消される。
と「言う必要ないわけねーがや」
髪をぐしゃっと触る。
と「顔バレだけじゃないだら?突き飛ばされたって、聞いた」
りょうくん、全部言うじゃん。
『それ聞いたら、としくん怒るじゃん』
と「怒るに決まってんだろ。自分の女にそんなことされて、キレない奴なんている?」
『私は平気なんだって。としくんの邪魔になりたくないの』
と「…じゃあ、なんでりょうには言うの?」
『それは、』
と「りょうのこと、好きになった?」
びっくりして、としみつの顔を見る。
としみつは下を向いたまま。
そんなわけないじゃん。
としくん以外の人を好きになるなんて、考えられない。
まさかそんなこと言われると思わなくて。
言葉が出ないでいると、としみつがため息をついた。
と「会えなくても平気、いじめられても言う必要ねえ、って」
と「じゃあ俺いらんやん」
『そんなこと、ないよ』
としくんに触れようと、手を伸ばす。
その手は、届かない。
としみつが立ち上がった。
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にじます - 見ててめっちゃキュンキュンしまくりでした!としくんがとにかくカッコよすぎました!ありがとうございます! (2021年1月29日 2時) (レス) id: a756719d9f (このIDを非表示/違反報告)
ちょんみる - またそれかよ。からの、一生推してろ。で胸がぎゅん!ってなりました…泣 完結までお疲れ様でした! (2020年6月1日 23時) (レス) id: 8b6be204f6 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 素敵すぎました……思わずスクロールして続編探してました笑 (2019年12月15日 3時) (レス) id: de131514da (このIDを非表示/違反報告)
ワイ - あー!終わってしまった、、めっちゃ良い作品でした!ありがとうございました!プロポーズ後の、物語みたいです! (2019年7月27日 0時) (レス) id: 66a772a320 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっちゅ(プロフ) - ももねさん» ありがとうございます〜!!続編…ネタがたまったら挑戦してみたいです!! (2019年7月24日 23時) (レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅっちゅ | 作成日時:2019年7月12日 1時