ガチ恋勢でもいいですか【東海オンエア】

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と「はい。ありがと、来てくれて」

歌詞カードを元に戻し、あっさりCDを渡されて、私に手を振る。

あ、終わり？

係りの人に誘導されて、私はその場を離れた。

どういうこと？

脳みそがついていかない。



イベント会場を出て、側のベンチに座る。

としみつが、どういう感情なのか、まったくわからなかった。

拒絶はされなかったけど、歓迎もされてなかった気がする。

他のファンの子とは、大きく笑いながら会話していた。

もしかして、ファン以下に成り下がってしまったのかもしれない。

ずーんと落ち込む。

怖くて、CDの中身を確認できない。

なにを書いたんだろう。

もう来んな、とか？



30分ぐらい経っただろうか。

イベント会場からどんどん出てくる、ファンの子達を眺めていた。

CDに手を伸ばす。

サインをそっと撫でる。

思い切って、CDを開いてみる。

歌詞カードを引き出して、中身を開いた。

「…っ」

思わず、口を手で覆う。

【駐車場、Fの2。18時ぐらい。たぶん】

急いで書いたらしい、殴り書きの字。

会ってくれるってこと。だよね？

真意はわからないけど。



駐車場に行ってみる。

『Fの2、Fの2…』

駐車場の柱に書かれた数字を見ながら、その場所を探していく。

あった。

ガチ恋勢だからさぁ。

車も把握済みなんだよね。

そこには、としみつの車が停まっていた。

まだ18時まで三時間ある。

一旦、建物の中に戻り、飲み物を買って、自分の車に乗る。

私の車を、としみつの車の向かい側に停めた。

なんかこれ、相当ストーカーみたいじゃない？大丈夫？

さながら、張り込み中。

タピオカ片手に、としみつが車に戻ってくるのをひたすら待った。

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