ペチカな君と 【東海オンエア】

#8 ページ8

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て「A〜」

『はぁ、また来たの？』

て「Aに会いたすぎるもん」

この店に通い始めて1ヶ月。

もはや俺の椅子と言ってもいいんじゃねーか、っていつものカウンター席に座る。



『はい、てっちゃん』

てっちゃんって呼んでって、無理やりお願いしてやっと呼んでくれるようになった。

いちいちにやける。

て「ありがと。今日も可愛いね」

『きもい』

ばっさり。

カウンターの向こうで、俺が頼んだ料理を盛り付けるAを頬杖ついて眺める。

て「A〜」

『なに』

て「そろそろ店外で会わん？」

『なにその、キモ客がキャバ嬢に言うみたいなセリフ』

いつもこうやってはぐらかされる。

厨房で俺たちの会話を聞いていた、Aの兄ちゃんが笑う。

俺が通いつめているから、兄ちゃんともすっかり仲良くなった。

兄「てつやーAは手強いぞ」

て「諦めれんっすよ」

『いやまじで諦めて』

て「ねぇ、なんでそんな俺だめ？」

Aが料理から顔を上げて、俺の顔を見る。

『どう見ても、ヤリチンだから。無理』

また兄ちゃんが声を上げて笑う。

兄「A。こんなに毎日数万分使ってくれる客なかなかいないって。店のためにもっと優しくしてくれよ」

『知らないよそんなの！無理なもんは無理！』



不機嫌な顔して、俺に料理を運んでくる。

て「ねぇ、まじでお願い。デートして」

Aがはぁっとため息をついて、腰に手を当てる。

あー、腰ほっそ。

触りてえ。

『…デートって、なにするの』

断られると思ってぼーっと腰を見てた。

て「…え？してくれる？」

『なに、しないの？』

無理と言いつつ、兄ちゃんの言葉が効いてたらしい。

て「え、まじで？する！しよ！」

『ヤらないからね』

俺のことなんだと思ってるんだ。

そんなすぐやる男みたいに。

ってそうやん。事実やん。

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