ペチカな君と 【東海オンエア】

#31 ページ31

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海に着いた。

Aと来る、二度目の海。

夕日にはまだ早かったから、堤防に並んで座る。



て「なぁ」

『ん？』

て「俺のこと、嫌いになった？」

『え？なんで？』

海を見ていたAが、俺の方を向く。

て「俺んち来てから、ずっと冷たいやん。嫌われたのかなって」

Aは、なにも言わない。

て「俺は、Aのこと好きだし諦めたくないけど、Aは俺に諦めてほしいって思ってんのかな、とか」

て「いろいろ考えすぎて、もうわかんねー」

膝に顔を埋める。

こんなこと、本人に言っちゃってどうすんだ。



『嫌いじゃないよ』

て「…ほんと？」

『ほんと。冷たいって思ってたなら、ごめん』

『なんか恥ずかしくて、どうすればいいかわかんなかった』

て「…え？」

それって。

どういうこと？



『たいき、さ』

ここでまた出てくる、虫眼鏡の名前。

はぁっとため息が漏れる。

『ため息つかないで、聞いてよ』

て「聞く聞く。虫眼鏡が何？」

『あたし、たいきのこと諦めれそう』

て「…まじで？」

『うん。ていうか、本人に言われて気づいたんだけど。恋じゃなくて、兄弟愛みたいなもんだったらしい』

よくわかんないけど、と付け足す。

て「兄弟愛かぁ」

そういえば虫眼鏡も、妹みたいなもんって言ってた気がする。



『たいきへの気持ちは兄弟愛。で、てっちゃんへの気持ちが、恋、なんだって』

て「…ふーん…」

ふーん。ん？

てっちゃん。俺。

俺への気持ちが、恋？

て「えぇ？！」

思わず立ち上がる。

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