桃色フィルター -数原龍友-

filter 24. ページ24

.




『龍友くん、海！！』


龍｢今日天気ええから綺麗やなぁ｣


『うわぁ〜、テンションあがるね！』


龍｢泳ぎたいわ｣


『それはこわいからいい』


龍｢なんや、海こわいん？｣






あともう少しで着くって時に道路沿いに見えてきた海。


チラチラって横目で海見ながら運転してた。






『だって流されちゃいそう…』


龍｢ひ弱やなぁ〜｣


『女の子だもん』


龍｢じゃあ、その女の子引っ張って海入るわ｣


『…いじわる』


龍｢ははっ笑 しゃあないから抱っこでも何でもしたるわ｣






だ、抱っこ…！？


ぽんぽんぽんって頭の中で想像した。



龍友くんに抱っこされて海に入るの。


幸せで…死ねる……。






龍｢あ、Aここ！着いたで｣






言われた通りに駐車場に車を止めて

荷物を持って外に出た。


そこは海が見える温泉とやらで

外観もとても綺麗だった。






龍｢予約してた数原です｣


｢お待ちしておりました｣






日帰りコースというものがあるらしく

泊まるわけじゃないのに部屋まで用意されていた。


わたしたちが使っていい部屋からは

あの綺麗な海が一望できて

それが嬉しくてベランダみたいな場所に飛び出た。






龍｢こらー、はしゃぐなー笑｣


『だって龍友くん！ほら！すっごく綺麗だよ！！』


龍｢こっからでも見えるで｣


『つまんないの〜』






男の人ってみんなこうなのかな。


男性経験がほとんどないから全然分かんないけど。




周平なら一緒にはしゃぎそう。

俺あそこまで走ってくる！とか言って、笑






龍｢なぁ、温泉行こう｣


『あ、行きたい！でも、海…』


龍｢海は逃げへんで｣


『うー…ん、』






でも何だか、離れがたいの。


寄せては返す、波。



まるでわたしの気持ちみたいで

自分の心見てるみたい。






龍｢ほら｣






なかなか温泉に行く準備をしないわたしに痺れを切らしたのか

龍友くんが手を引っ張ってきた。






『ご、ごめん。すぐ準備するから…』


龍｢あとでちゃんと見よう｣


『…え？』


龍｢海、2人で見よう。せっかく来たからな｣






龍友くんは、とっても優しい。


だから、優しさを感じる度にまた好きになる。






龍｢しゃー、行くか。混浴に！！｣


『おーー！！……って、混浴！？』






聞いてない、聞いてないよ。

焦るわたしなんてお構い無しにずんずん歩く龍友くん。


む、むりだよ。

心の準備ってやつが…！！




.

filter 25.→←filter 23.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す