アソビゴコロ 〜Wedding？〜８【川村壱馬】

結果 ページ37

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無事に一次試験を突破し、二次試験の面接を受けた
緊張のせいで記憶が全くない
これはひどい
どんな質問だったかもどんな受け答えをしたのかも
どんな面接官だったのかさえも思い出せない

落ちる心配ばかりが脳裏をよぎる

ちょうど合否が出るのが10月の下旬
壱馬先輩は11月に帰ってくるから
わたしの合否次第でこう…諸々決まってくるというか

壱馬先輩はきっと狙ってる警察庁での勤務になるでしょう？
それなのにわたしは浪人したとか笑えない
ほんとに笑えない

落ちる恐怖と戦いながら大学で卒業に必要な単位を取り
必ず土曜に帰ってきてくれる壱馬先輩と優しい時間を過ごし
たまにユウちゃんと女子会をし…という何とも平和な生活を送っていた

不安な時は左手の薬指に輝く指輪を見て元気を貰う
そうこう過ごしてる内にあっという間に合否の日

自宅に帰宅し、郵便受けをそっと覗く
そこには欲しかったようないらなかったような…封筒がひとつ

暴れる心臓を落ち着けるために深く息を吸うけど全然おさまってくれない

開けなきゃ、確認しなきゃ

頭ではわかってるのにこわすぎて勇気が出ない
そこにタイミングを計ったかのように壱馬先輩から電話がかかってくる

震える手で通話ボタンを押して
ゆっくりと耳にスマホを押し当てる






『もしもし…』


壱｢あー…やっぱり。死にそうな声してる｣


『ふ、封筒きたんだけど…こわくて、あけられなくて』


壱｢だろうなと思った。俺も一緒にいると思って、それなら平気だろ｣


『は、い…』






優しい、優しいなぁ
声を聞いてしまったら温もりも求めてしまうけど
そこは我慢してハサミを手にした






『封筒切ります…！』


壱｢ふは…、うん｣






電話口の向こうで壱馬先輩が笑った
その姿を想像しただけで強ばってた体から力が抜ける
…相変わらず魔法使いだなぁ、壱馬先輩は

丁寧に封を切り、中から紙を取り出す

カサカサ、と紙の音が響く
ゆっくりと三つ折になった紙を開くと
そこに見えたのは 【不合格】 の文字

あ、れ…






壱｢A、どうだった？｣


『えっ…と、』






何度見ても同じ、不合格の文字
落ちちゃった
あんなにたくさん応援してもらったのに
自分なりにではあるけど頑張ったのに

声も出せずにポロポロと涙が溢れて紙を濡らす






壱｢…A？｣


『ひっ…、う、』


壱｢…待ってろ｣






返事も出来ずにいると
それだけ言い残して壱馬先輩は電話を切った




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