アソビゴコロ 〜Wedding？〜８【川村壱馬】

実感 ページ30

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壱｢話せるようになったらでいいけど、黙ってんのはなしだかんな｣


『……』


壱｢何となくは交番の人から聞いたけど、ただのナンパじゃねぇんだろ？｣






電話で連絡した時に
どうしてわたしが保護されたのか警官さんが簡単に説明してくれた
でもわたしが何にも話せなかったから
状況説明しかできていない

自分で…話さないと、






壱｢…これでも限界なんだよ。俺以外の奴がAに触んの許さねぇっていつも言ってるよな？｣


『…っ、』


壱｢他の男の目に映んのも嫌なのに、俺の知らない間に男と何かあったって聞いた俺の気持ち分かる？｣


『壱馬せんぱ、』


壱｢…大事すぎておかしくなりそ、｣






こつん、と力なくおでこをくっつけた
言葉は勝手に聞こえるけど
触れ方でわたしを心配してくれてるのがわかる

壱馬先輩の手を握って
サイトのこと、今日のことを話した






壱｢……殺す｣


『だっ、だめです…！しかも明確な敵意があったかもわからないのに…、』


壱｢サイト登録した奴もお前を連れてこうとした奴も殺せば問題ない｣


『事件になります……！』






案の定、全部を話したら壱馬先輩はひどく怒って
宥めるのが大変だった






壱｢これだから一人にすんのは不安なんだよ｣


『いつもごめんなさい…』


壱｢はぁ、戻りたくねぇな｣


『壱馬先輩、』


壱｢つか番号変えたならすぐ俺に言えよ｣


『あっ、そうだ…！メアドも変えちゃったから、』


壱｢…でもよく一人で頑張ったな｣


『え、』


壱｢怖かったろ、側にいてやれなくてごめん｣


『やだ…』


壱｢やだ？｣


『泣いちゃうからやだぁ…っ』






実感する
やっぱりわたしには壱馬先輩が必要なんだって
我慢できず溢れた涙
啄むように頬にキスをして涙を拭ってくれる

頬を滑るようにして唇の端にキスをした
物足りなくて自分から唇をくっつけたら
ふ…って目を細めて笑ってくれた






壱｢…どうして欲しい？｣


『…キス、して？』


壱｢どんな？｣


『……溶けちゃうやつ』


壱｢…ずる｣






ぺろ、と唇を舌先でなぞってから
ゆっくりと確かめるように目を合わせた

艶めいた瞳は余りにも綺麗で
ずっと見ていたいと思えた






壱｢…絶対、守るから｣






消えそうな、でも確かに強い声音でそう言った




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