アソビゴコロ 〜Wedding？〜８【川村壱馬】

感謝 ページ21

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結婚式の後、披露宴の前に少しだけお喋りする時間
ユウちゃんと話していると
目の端に担当看護師さんと隅の方にいる壱馬先輩のお母様を捉えた

お母様の所に壱馬先輩が向かうのも見えた
ユウちゃんに 行ってくる と伝えてから壱馬先輩の後を追う






『お義母さん！』


母｢Aさん、とても素敵なものを見せてもらったわ。ありがとう｣


『いいえ、こちらこそ今日は来て下さってありがとうございます！』


母｢壱馬のあんな幸せそうな顔を見れて、わたしは大満足よ｣


壱｢やめろよ…｣


母｢ふふ、照れなくてもいいじゃない｣






…こうして見てると
今までずっと仲良く過ごしてきた家族に見える
昔を乗り越えてこうなれたのは
お母様と壱馬先輩が心と向き合ったから






母｢…あの人もきっと喜んでる｣


壱｢そう、かな｣


母｢えぇ、壱馬のこと大好きだったもの。今頃空で酒盛りでもしてるんじゃないかしら｣


壱｢昼から酒かよ｣


母｢わたしじゃなくて…あの人が、今ここに居たら良かったのにね｣






すごく、悲しげな顔をして俯いてしまった
後悔…してるんだ
お父様が亡くなったのを壱馬先輩のせいにして
現実から逃げて心を閉ざしたことを

ふと視界に入った壱馬先輩の手は少し震えていて
ちくん、と胸が軋んだ






壱｢俺は…母さんが今居てくれて良かったって思ってるよ｣


母｢…壱馬｣


壱｢そりゃ…父さんも居たらもっと良かったけど。…俺の母さんは、母さんしかいないから｣


母｢…、｣


壱｢俺は、母さんの子どもで良かったよ｣






強くお母様を見つめて言う壱馬先輩
お母様は涙を堪えながら
ありがとう、ありがとう と何度も言っていた

いつの間にか壱馬先輩の手の震えは止まってて
しっかりと前に進めてるんだなって
胸が温かくなった






『ん〜っ、終わった〜！！』


壱｢雰囲気台無し｣


『だって一日緊張しっぱなしで…疲れちゃいました』


壱｢それは確かに｣






結婚式と披露宴、二次会を終えて
帰宅したのは23時近く

身内でやったせいもあったのか
楽しすぎて時間が過ぎるのがあっという間だった

わたしたちの親は披露宴で帰っちゃったけど
ちゃんと手紙で気持ちを伝えられたし
思ってたよりもすっごくいい思い出になったなぁ

指輪はもう貰ってたから
指輪交換ないと思ってたのに
サプライズで用意しちゃってるし
最高の旦那様






『壱馬先輩、ありがとう』






ありったけの感謝
伝わりますように




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