アソビゴコロ 〜Wedding？〜８【川村壱馬】

不器用 ページ2

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全然大丈夫です って返して
むしろ壱馬先輩だと集中できないです って心の中で呟いた

吉野先輩はホールを見渡してから
ストン、とわたしの前の席に座る






北｢どうせもうすぐあがりだし、壱馬来たからちょっとサボっちゃお｣


『陣さんに怒られちゃいますよ…！』


北｢いーのいーの。怒られ慣れちゃったから｣






えへ、って首を傾げながらかわいらしく笑う
それから頬杖をついてパソコンを覗き込み
すげえ〜 と感嘆の声をあげた






北｢あ、いまそがりって覚えてる｣


『ふふ』


北｢パソコン見てると壱馬思い出すなぁ｣


『どうしてですか？』


北｢最近さぁ、卒論頑張ってんだよ。壱馬んとこのゼミが絶対2人1組でやんなきゃでさ。女の人とペアになった〜って嘆いてた｣


『女の人…』


北｢時間見つけてよく2人でやってるよ。あ、その子彼氏持ちで珍しく全く壱馬に興味なくてさ。翔吾みたいなのがタイプなんだって〜笑｣






ゼミ…卒論…2人1組…

金曜にわたしが見たのは…それ？
卒論を2人で頑張ってたの？
そういえば難しい顔してパソコン見てたな

…え、じゃあ、頑張ってる2人を見てヤキモチ妬いたの？
……ものすごく失礼なことした！！
やましい気持ちなんて一切ないのに疑ったりして
女の人にも悪いことしちゃった

でもそういうことなら
言ってくれても良かったのになぁ、






北｢まっ、壱馬は試験も受かったしね。卒論なんて楽勝だよ｣


『試験？』


北｢ん？うん、試験。4月から警察学校通うんだよ。なんか想像つかないよな〜｣


『えっ…、壱馬先輩もう試験終わったんですか？受かったんですか？警察学校行けるんですか？』


北｢え？聞いてなかったの？｣






いっ、いつの間に…！？
だってなんかいろいろあったし
壱馬先輩が家で勉強してる素振りなかったし
試験がいつとか就職がどうのとか
あんまり自分から話してこなかったから
聞くのもなぁって思ってたけど

まさかもう全て終わっていたとは…






北｢きゅまちゃんが大変な時期だから言いづらかったのかもね｣


『そんな…』


北｢ほら、壱馬って変なとこで気遣うから。不器用なんだよな、優しさが｣






わたしが教育実習のためにいろいろ勉強してたから？
教員試験もあるし、家でも時間作って勉強してたもんね

…でもそんな大事なこと言わないなんて
不器用にも程があるよ

壱馬先輩がうれしいことは全部
ちゃんとおめでとうって
すぐに言いたいのに




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