アソビゴコロ 〜Wedding？〜７【川村壱馬】

好きじゃん ページ46

.




家に着いたら
ソファにわたしを降ろして
靴擦れしてた部分を消毒してくれた

ちゃんと防水の絆創膏貼ってくれて
また胸がきゅんってして、恋した






壱｢ご飯は？｣


『食べて、ない…です』


壱｢風呂入ってこいよ。何か作るから｣


『えっ、わたしが…！』






ジ…、と余りに強い瞳で見つめられるから
それ以上何も言えなくて
壱馬先輩の言う通りお風呂に入った

あぁ、もうほんとに…
身に余る幸せだよ

あんな素敵な人と結婚して
幸せに何不自由なく暮らしてるのに
ちょっとしたことで不安になってヤキモチ妬いて
不満なんてひとつもないのに

こんな時まで
わたしのこと探しに来てくれるような
絵に書いたような優しい旦那様なのに

わたしは…わがままだ


沈んだ気持ちのままお風呂を出て
いい匂いのするリビングに戻った






『…おいしそう』


壱｢玉ねぎたっぷりのにんじん無しチャーハン｣


『…甘やかされてる』


壱｢好きじゃん、甘やかされんの｣






軽く微笑みながら洗い物をする壱馬先輩
今すぐ抱き着きたい気持ちを抑えてラグの上に座った

玉ねぎはすき
にんじんはきらい

こういう些細なことを覚えていてくれる所、好き
全部好き
大好き






壱｢はい、食べな｣






わたしが何かで落ち込んでるの気づいてる
だからいつもより優しさ多め
いじわるしてこない

…だけど、それがまさか自分のことだなんて思ってないでしょ

聞きたくないけど
聞かなくちゃいつまでも引きずっちゃう
ご飯食べたら、ちゃんと話そう






『ごちそうさまでした』


壱｢ん｣


『わたしが洗います！』


壱｢いいよ、座ってろ｣






頭をポン、と撫でられて
それだけで頬が熱くなる

…わたしだけだよね
壱馬先輩がこんなことしてくれるの
あの人にも同じようにポンポンしてたら
わたし発狂して暴れちゃうかも

うわぁ、典型的なやばい女だ
良くないなぁ、やだなぁ
もっと余裕のある大人な女性になりたい

さっき見た、綺麗だったあの女の人みたいに
…あ、自分で思い出したくせにダメージくらった






壱｢何なの、ほんと笑｣






わたしがモンモンと考えてる間に洗い物終わったみたい
当たり前かのように隣に座って距離を詰めてくる
優しい笑顔
でもあの人にもおんなじ風に笑ってたよ

…おんなじは、やだ
いつだって壱馬先輩の特別がいい

ソファにもたれかかって
わたしの様子を見守る壱馬先輩は
…大人でずるい




.

悪魔→←教えた

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す