アソビゴコロ 〜Wedding？〜６【川村壱馬】

曇らないように ページ9

壱馬side.




しばらくルナちゃんとケイくんと遊んで思った
…俺、子ども好きだわ
無邪気に笑ってはしゃぐ姿はかわいい以外の何者でもなくて
この笑顔が曇らなければいいな、って
何となく昔の自分を思い出しながら思ったりもした

俺とは少し違うけど
この子たちも父親がいなくて
母親とも会える時間が少ない

なのに、こんなに明るくてかわいらしいのは
お兄ちゃん…星羽に愛されてるからなんだろうな

子どもの頃の俺なんて
かわいらしさなんて微塵もなかった
人と嫌なとこばっか見つけて
優しさも信じられなくて
最初は北人と翔吾に迷惑ばっかかけて、

今考えれば
ほんとにあいつらは
よくあんな俺と一緒にいれたな
バカなのか底なしのいい奴らなのか…






ケ｢かじゅみゃっ、だっこちて！｣


壱｢んー？だっこ？｣


ケ｢ちかれたの｣


壱｢え？あぁ、疲れたの？｣


ル｢るなちゃんもだっこ…｣


壱｢ん、おいで｣






気づけば1時間近く遊んでた
そりゃあんだけフルパワーで遊べば疲れるよな
両腕に2人を抱き、家に戻った

インターホン鳴らしてドアを開けたら
めちゃくちゃいい匂いがして
一気にお腹がすいた

子どもたちと一緒に手洗いうがいをして
Aの所に行く






壱｢ただいま｣


『おかえりなさい！もう、わたしシェフになれるんじゃないかなってぐらいおいしくできたんです。早く壱馬先輩に食べてもらいたい』


壱｢俺のために作ったんじゃねぇだろ｣






いつ、どんな時でも俺優先なこいつの頭の中に笑いつつも
それが心地良く感じてしまう

Aが俺といない時の話をする度に思う
俺のことしか見れなくなればいいのにって
知らない人にも北人や翔吾にでさえ
どうしようもなく嫉妬して
自由がなくなるくらい束縛したくなる

狂ってるって分かってる
でもそれほどに愛してしまって
俺の人生に欠かせない存在だから

…なのに、星羽に対して嫌な感情が湧かないのは
やっぱり俺と同じような境遇だからなのか

Aが言ってた
俺みたいに寂しそうだって
そんなの星羽にしか分からないことだとは思うけど
人の心の揺れに敏感なAが言うんだから
きっと間違ってないんだ






『みんなで食べましょう！』






Aが救いたいなら
俺も一緒に






壱｢うん｣






星羽の心が
ルナちゃんとケイくんの心が
曇らないようにしてあげよう




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