アソビゴコロ 〜Wedding？〜６【川村壱馬】

懐かしい ページ36

壱馬side.




次の日、また起きたら朝ご飯ができていた
相変わらず俺とは一緒に食べないけど
一定の距離を保ってニコニコしてる

今日は勉強しよう、と思って机に向かったら
警察になるために必要な書籍が並べられていることに気づいた

…結局俺もこの道か
特にやりたいこともないし、それでいいのかもな


静かに勉強してたら
コンコン、とノックされた
あいつしかいないけど はい と一応返事をする

またニコニコしながら
アイスコーヒーを持って来た
けっこうやったし、休憩するか

アイスコーヒーを受け取って、飲む






壱｢…にが｣


『…っ！？』






俺が好きな味より、ほんの少しだけ苦い
もしかして本来の俺が好きな味？
だとしたら…こんな俺でも大人になったわけだ

俺の反応にびくぅ！と肩を震わせてから部屋から居なくなり
戻ってきたと思ったら
ガムシロップ3個とミルク3個を両手に持ってきた






壱｢…そんなにいれたら味変わんだろ｣


『…、』






ニコニコしてた顔が一瞬にして曇って
困った顔になる
眉を八の字にして首を傾げながら俺を見つめてくる

こいつ…百面相だな






壱｢ミルク、もらっとく｣


『っ！』


壱｢3個もいらねぇよ。1個でいい｣






パァっと眩しすぎる笑顔でミルクを渡してくる
何がそんなに嬉しいのか分からないまま受け取った

一旦いなくなって
スケッチブック持って戻って来たと思ったら
心底不安そうな表情で見せてきた






【昨日は嫌な思いさせちゃってごめんなさい】

【岩谷先輩はとってもお世話になってる先輩です。何にもありません】

【壱馬先輩のどこが良かったかですけど…全部としか言いようがありません】


壱｢…よくあるセリフだな｣






どんな言葉が出てくるかと思えば、全部？
ありきたりすぎて聞き飽きた
笑えもしない






【壱馬先輩が良かったんです。壱馬先輩のことが大好きだったから、全部受け入れられました。好きだからっていう理由じゃだめですか？】






ど直球な言葉たちから思わず目を逸らした
よく恥ずかしげもなくこんなこと言えるもんだ
俺には考えられない

好きだからっていう理由…
一生わかることのできない理由だ






壱｢いいんじゃねぇの、別に。今はもう興味ない｣


【壱馬先輩、わたしのこと好きになってくれなくてもいいから】






その先に続く言葉が
どこか懐かしい感じがして






【嫌いにならないでください…】






不思議な感覚になった




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