他人なはず ページ31
.
風呂の準備をしたのか
また駆け足で戻ってきてキッチンに立った
…こいつ料理できんのか
すげー不器用そうに見えるけど
てか、誰かの手料理なんて久しぶりだ
自分で作るのなんてだるいし
いつも外食とか弁当買ってきてたから
…つっても、記憶の中の俺が久しぶりなだけで
今の俺にとっては当たり前だったのか？
だとしたら、何があったんだよ
俺は…誰にも必要とされない人間なのに
真っ黒でぐちゃぐちゃな俺と一緒にいる物好きなんて
そういないはずなのに
…考えたって、無駄か
何かのきっかけがないと思い出せないんだから
別に思い出さなくてもいいけどな
あー、でも…勉強とかは思い出さないとめんどくせぇな
笑えないテレビ番組をぼーっと眺めてたら
テーブルの上にできあがった料理が並び始めた
…定食屋かなんか？
一般家庭の夜ご飯としては豪華すぎんだろってくらいの品数
最後にコップにお茶が注がれて
俺に向かって どうぞ と言わんばかりに手を広げた
壱｢…多くね？｣
【久しぶりなんだよなって思ったら張り切っちゃいました】
壱｢何が…久しぶり？｣
【手料理です！壱馬先輩手料理食べてない頃のはずだから】
俺が…話したのか、こいつに
だとしたら、こいつは
俺の過去も何もかも…知ってるわけ？
それでいて好きだとか言ってたわけ？
…普通じゃない
あんなの聞いたら…引くだろ
しかも俺はこいつのこと覚えてないのに
それなのに昔の俺にまで気を遣って…くれた？
俺の向かい側のラグに座って微笑んでるあいつに目をやれば
視線に気づいて俺を見てくる
微笑みながら首を傾げてから はっ としたように立ち上がり
何故か部屋の隅の方に移動した
壱｢…何してんの？｣
【近づきすぎちゃったかなって…。ごめんなさい】
壱｢…誰もそんなこと言ってねぇけど｣
考えるよりも先にそう伝えてる俺がいた
いやいや…待てよ
俺こんなキャラじゃねぇだろ
ずっと独りだったんだ
今更生活の中に他の誰かがいるなんてうざったいだけなはずなのに
どうしてだろう
こいつは…気にならない
気を遣われてる感じはある
だけどずっと俺のこと考えてんだろうなって、分かる
自惚れかもしれないけど
ゆっくりとさっきの場所に戻ってきた小動物野郎
違う、違うって脳内で警告されてる
壱｢…お前、名前なんだっけ｣
俺は…こいつとは他人なはずなんだ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2244人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ももか(プロフ) - 妖精さんの話の時涙が気づいたら出てました(>_<) 続きが気になりすぎます！！更新楽しみにしてます^_^ (2020年5月9日 21時) (
レス) id: 493174924c (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 更新ありがとうございます^_^早く壱馬先輩が思い出しますように！！！（；＿；） (2020年5月3日 16時) (レス) id: f088a0a7b8 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 更新ありがとうございます！また読みながら泣いちゃいました(笑)主人公ちゃんも辛いし、壱馬先輩も辛いし..早く幸せになれますように！！ (2020年5月3日 13時) (レス) id: 3116574168 (このIDを非表示/違反報告)
もえかず(プロフ) - 続き気になります！早く思い出してほしい(；д；) (2020年5月3日 6時) (レス) id: 50a1bb95a0 (このIDを非表示/違反報告)
蟻ちゃん(プロフ) - 更新ありがとうございます！続きが気になり過ぎます！ (2020年5月3日 3時) (レス) id: 514b8c34c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れもん
| 作成日時：2020年3月10日 18時
