秘められた恋が叶うまで２【G's】

我慢 ページ20

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その言葉だけでこんなに安心して
こんなに嬉しくて
こんなに幸せ






『好き…』






自然と紡いだ言葉は小さかったけど
亜嵐くんにはしっかり届いたようで
また抱きしめる腕に力が入った






『亜嵐くん、好き…。好き、大好き…っ』






言葉にする度に涙が溢れる
落ちる度に亜嵐くんの肩を濡らすから
染みが広がっていった






亜｢俺も…大好き｣






知らなかった
好きな人から返される 好き がこんなに特別に聞こえること
好きな人の腕の中がこんなに心地いいこと

いくら苦しくても
もっと抱きしめて欲しいって思う
これ以上ないってぐらいに密着してるのに
足りないって思ってしまう






亜｢…好きな人に好きって言われるの、嬉しいね｣


『…うん』


亜｢…ありがとう、A｣






ありがとう…、ともう一度繰り返すと
抱きしめる腕の力を緩めた

亜嵐くんの瞳が
幸せに満ちてる気がして

ずっと瞳を見ていられる気がした

両想い…ってことは
あれ、だよね
" 番 " に…なるのかな

そんな疑問を抱くわたしを知ってか知らぬか
亜嵐くんは蕩けた表情でわたしを見つめる
さわさわと顔を撫でたり
耳に触れたり
髪を梳いたり
何も言ってこない






『あ、らんくん…？』


亜｢ん？｣


『あの…噛、み…ますか？』


亜｢…え？｣






恥ずかしい、恥ずかしい
自分からこんなこと言うなんて
だけど亜嵐くんにとって大事なことだから
ちゃんと聞かなきゃ

亜嵐くんを目を丸くして驚いた後
少し考えるように目を伏せた






亜｢…もう少し、我慢かな｣


『我慢、？』


亜｢俺がちゃんと自分に勝って、自己ベスト出せたら…その時は、ご褒美くれる？｣






亜嵐くんが自分に勝つこと
それは過去を乗り越えて
自分の力と向き合うということ

それだけの覚悟を持って
亜嵐くんはわたしとのことを考えてくれている






『…いくらでも、あげます』


亜｢…その答え期待しちゃうな｣






微笑みながら顔を近づけて
鼻と鼻をくっつける
甘えるようにすりすりってするから
くすぐったくて身を捩った






亜｢俺、頑張るね｣


『うん、応援してる』


亜｢頑張るために今日はちゅーで我慢しまーす｣


『え…っ！？』






言った通り、亜嵐くんはそれから長い時間キスをし続けた
気づけば時計の針はてっぺんを超えていて

このまま一緒に寝よっか

なんて甘い声で言うから
頷くしか選択肢はなくて
亜嵐くんの隣で幸せを感じながら眠りについた




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