秘められた恋が叶うまで２【G's】

当たり前 ページ19

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『さっ…のさ…！』


玲｢もしもーし、起きてますかー。入れますかー、入りますねー｣


『えﾞ…っ！？』






亜嵐くんの返事が聞こえる前に
佐野さんはドアを開けてわたしを部屋の中に放り投げた

女の子に対する扱いとは思えない
いろんな意味で佐野さんを睨むと
べ、と舌を出しながらドアを閉めた
…非情






亜｢…A？｣






名前を呼ばれたことで
背中がｿﾞｸﾘ、と反応する

病院でのことを思い出して
顔に熱が集まった
振り向けない






亜｢どうかした…？｣






少し弱々しい声は
亜嵐くんも昼のことを気にしてるのを表してるようで
尚更振り向けなくなってしまう

隼くんのこと相談したい、

…違う、それ以前に
亜嵐くんの心が知りたい

本当にわがままな性格で嫌になる
結局他人より自分
こういうのも、隼くんには筒抜けなんだろうか






亜｢玲於が無理して連れてきたんなら…戻りな？｣






亜嵐くんらしくない震えた声
胸が軋む
嫌だよ、そんな声
わたしが聞きたいのはそんな声じゃない


" 偽りのない言葉だから、響くんでしょ？ごちゃごちゃ考えて濁った言葉は届かないよ "


ふと、涼太くんに言われたことを思い出した






『亜嵐、くん』






" 亜嵐くんとのこと深く考えすぎずに、聞いたこと、見たものだけを信じてあげたらいいんじゃないの "


みんな、それぞれの思いを抱えながら頑張ってるんだから
わたしがここでくよくよしてちゃだめだ
みんなの力になりたいなら
わたしがもっと頑張らなきゃ

ゆっくり振り向いたら
まっすぐにわたしを見てる亜嵐くんと目が合った

それだけなのに
こわいくらいに きゅん と胸が締めつけられる
いつの間にか…こんなにも惹かれてた

もうこの気持ちからは逃げられないよ






『ずっと…一緒にいてくれる…？』


亜｢…何言ってんの？｣






目の前の景色が
ガラスを割ったみたいに
パリーンと音を立てて崩れていく気がした

…聞かなければよかった
亜嵐くんの未来にわたしは、いない

真っ暗になりかけたその時
亜嵐くんが そっ… とわたしを抱き寄せた

痛いくらいに抱きしめるから
目の前の景色が戻っていく






亜｢当たり前じゃん。なんでそんな泣きそうな顔しながら言うの、？｣






" 当たり前 "

亜嵐くんは確かにそう言った
当たり、前…？
当たり前ってなんだっけ
確か…考える意味もないくらい当然のこと、だよね

ジワ…と亜嵐くんの肩が濡れて
シミができたのが見えた




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