秘められた恋が叶うまで２【G's】

中途半端なまま ページ14

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立ち上がろうとしたら
亜嵐くんがふいにわたしの肩を掴む
なんだろう、と目を合わせようとしたのに
それは叶わなかった

気づいた時には
瞼にキスをされていた






『あ、ら…っ！』


亜｢…余計なこと考えてる｣


『何言ってるの、』


亜｢何もいらないよ｣


『…亜嵐くん？』


亜｢……裕太くんの匂い、する｣






ふ…、と目を伏せた
悲しげ、とも
寂しげ、ともとれるような表情に目を奪われる
長いまつ毛が揺れて
瞳が漆黒に染まってく

あの時と、一緒

亜嵐くんが自我を失いそうになったあの時と






亜｢…来てた？｣


『さ、っきまで…いたよ』


亜｢すごい、やだ｣


『…え？』


亜｢Aの甘い匂いの中に、裕太くんがいるの…すごいやだ｣






漆黒の瞳と目が合った時にはもう遅かった
ぶつけられるようなキス
力が抜ける
抵抗なんてできるはずもなく
亜嵐くんの体温を感じることしか出来ない

亜嵐くんの手が素肌に触れる度に
自分の体じゃないような感覚に陥る
火照って、熱くて、もどかしくて

頭の隅に こんな所で って思いがあるのに
やめないで って思ってる

力が抜けて床に座り込む
伸ばした足に跨るようにしてきた亜嵐くんの熱いモノが当たるのを感じて
一気に恥ずかしさが襲ってくる






『あらん…っく、』


亜｢俺だけ…っ、見て｣


『あ、らんくん…！』


亜｢俺のものに…、なれよ…っ｣






底がない黒に
引きずり込まれる

余りにも強い瞳と
色気を含んだ声に
ゾクリ、とした何かがわたしを襲った

舌が絡み合う
息ができないほど苦しいのに
涙が滲むのに
それが気持ちいいなんて
どうかしてる

亜嵐くんの指が下腹部を撫でて
熱を持った場所に触れようとした

亜嵐くんだけ、見てるよ
亜嵐くんのものに、なりたいよ
いつの間にかこんなに好きになっちゃったよ
だから…中途半端なまま
付き合えないよ






『…っ、やだ！』


亜｢いっ…て…、！？｣






ゴチン！とものすごい音がした
人生で初めての…頭突き
おでこを押さえてうずくまる亜嵐くん

乱れる息を整えてたら
自分自身が乱れた格好になっていることに気づく
慌てて直して
足に力を入れて立ち上がる






『亜嵐くんの瞳にはやられないから！』


亜｢おっ…まえなぁ…、まじで痛てぇ…｣


涼｢…何してんの？｣


亜｢涼太…いいとこに…｣


『わたし涼太くんと帰ります！』


涼｢え？俺、見舞いに…え？｣






わたし、亜嵐くんが…好きだよ




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