秘められた恋が叶うまで【G's】

路頭に迷ってる ページ45

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『行ってらっしゃい』


玲｢うぃー｣






家を出る最後の佐野さんを見送って
よし！と小さくガッツポーズをつくる

ついに亜嵐くんからひとりで外出OKの許可が出た
近場のスーパーとかコンビニとかだけだし
あんまり人が多い時間帯はだめだけど
買い出しとかをみんなに頼まなくて済む

今日はちょっと豪華にしよう
すき焼きとか
龍友くん、いっぱいお肉食べるかな

必要なものをメモして
身支度を整えて
玄関で靴を履く

佐野さん、プリン食べるかな
亜嵐くんにトマト克服してもらうためのレシピも考えなきゃな
メンディーさんに春巻きも買おうかな

次から次に出てくる考え
ひとりで買い物、楽しみだなぁ

ふふ、と声を出したら
いきなりガチャ！と玄関のドアが開いた
びっくりして靴紐を結ぶ手が止まる
佐野さんが忘れ物でもしたのかと思ったけど
そこにいたのは予想外の人






『おかえり…なさい…裕太くん、』


裕｢…ただいま｣






疲れた顔をして
でもちょっと嬉しそうな顔をしている
あのことがあってから帰ってきてなかったから
ちゃんと顔が見れない

普通に、普通に喋らなきゃ








裕｢どっか行くん？｣


『が、外出OKになったので…これからお買い物に…』


裕｢おぉ、よかったやん。ほんなら、俺も一緒に…｣


『い、いいい、いえ！！！裕太くんは帰ってきたばかりなのでごゆっくりおくつろぎくださいませ！！』


裕｢え、ちょ…｣






逃げるように裕太くんの隣を駆け抜けて
スーパーに行く途中の道まで猛ダッシュした
後ろを振り返って着いてきてないことを確認して息をつく

あからさまだったかな…
いや、いつも通りしっかり話せたはず…！

切れた息を整えながらゆっくり歩いてスーパーまで向かう
今日は晴れてるから川辺を歩いて、ちょっとお散歩気分
人もいないし、薬も飲んできた
そうそうαには会わないって言われたし
家に帰ったら裕太くんがいるから…
ちょっとゆっくりしちゃおう

川を泳ぐカモを見てたら
いきなり飛び立った
それを目で追ったら
川の反対側のベンチに隼くんがいた

わ、偶然…！

人もいなかったから
思い切って手を振りながら大きな声で名前を呼んだ






『隼くーん！』






顔を上げた隼くんは
いつもの様子じゃなかった
思い詰めた、というか
路頭に迷ってるような
そんな様子




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