秘められた恋が叶うまで【G's】

ひとり ページ24

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最初は隼くんと一緒に亜嵐くんを探してた
隼くん、意外と体力あるから
走り続ける隼くんに ちょっと待って と声をかけた

その声は隼くんに届かなくて
簡単に姿を見失ってしまった

今まで滅多に外になんて出なかったから
知らない場所
知らない人だらけの場所に取り残された気分になって
急に不安が押し寄せる

スマホ…って思ったのに
どこ探しても入ってない
置いてきたんだ、何やってるんだろ

ここがどんな場所かも知らないのに
亜嵐くんが居そうな場所なんて分かるはずない

その時に、ふと思った
元いた場所に戻ることもできないのに
わたしは亜嵐くんたちがいるあの家を出て
どうしようとしてたんだろうって

自分の運命を受け入れて
頑張って生きてくしかないんだ
それが亜嵐くんたちを頼ることだっていうなら
もっと素直になって関わっていくべきなんだ






『…亜嵐くん』






亜嵐くんの話を思い出す
悩んでる風には見えなかった
いつも気にかけてくれて
笑いかけてくれて
ふざけてるフリして笑わせてくれた

…亜嵐くんを救わなきゃ
それが今のわたしにできること

とりあえず動かなきゃ
こんなとこで立ち止まってても意味が無い

歩き出した時
前から歩いてきてた男の人と目が合った
にや、って笑われて思わず目をそらす

すれ違う時に あれ〜？ って言いながら
わたしの腕を掴んだ






＊｢久しぶりじゃん。こんなとこで何してんの？｣


『…え？あの、人違いです』


＊｢え、嘘でしょ。忘れたー？笑｣






久しぶりに会ったんだから遊び行こーぜ って
強引に肩組まれた

ヘラヘラ話してた男の人が
急にわたしの頭に顔を近づける






＊｢…Ω？｣


『え…？』


＊｢お前、Ωか？うわ、俺運いい〜｣






裏路地みたいなとこに連れてこられて
壁に押しつけられる






＊｢初めて見たわ。お前、俺の子産めよ｣


『い、や…っ、だ…！』


＊｢Ωってそのためだけに産まれてきたんだろ？もったいぶってんじゃねぇよ｣






なに、この人
抵抗しても全然叶わない

亜嵐くんにいつも言われてた
ひとりになっちゃだめって
こうなるから？
薬飲んでたって香る甘い匂いでΩだってバレるから

いやだ
おじいちゃんとおばあちゃんみたいに
お互いのことをちゃんと好きで
思い合えるような人と一緒になりたいの

こんな奴に…！

スカートの中に手を入れられた瞬間
男の人が風のように一瞬で前からいなくなった




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