秘められた恋が叶うまで【G's】

涙 ページ16

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亜｢ただいま、A！｣


『おかえりなさい、亜嵐くん』


亜｢あー、やめとこ｣


『…なにを？』


亜｢ハグしてやろうかと思ったけど汗かいてるから先シャワー浴びてくる｣


『健全な付き合いって言ったじゃないですか！』


亜｢ハグは健全です｣






夜ご飯を作ってる時に亜嵐くんは帰ってきて
また勝手なこと言ってシャワー浴びに行った

さっき帰ってきた隼くんから聞いた
佐野さんは友だちとご飯で
涼太くんは遅くなるからご飯いらないって

だからたぶん、このくらいで足りるはず
先に食べちゃおう

龍友くんとメンディーさんはまだ帰ってきてない
隼くんと裕太くんは部屋だし
邪魔になる前に早く部屋に退散しよう

いただきますってひとりで食べるご飯
施設の時は絶対みんなで食べたなぁ…
いつも元気な子どもたちが話して
こぼすなんて当たり前で
毎日あーだこーだ言いながら掃除したり
おじいちゃんおばあちゃんはそれ見て笑って…

広い しん… としたリビングを見渡して
どうしようもなく寂しくなった
本当の親を知らないことも寂しくないくらい
あそこにいる時は楽しかった

だけど、今は…






『…ぐす、』






…だめ、泣いちゃだめ
まだここに来て2日目なのに
こんなんじゃ恥ずかしい

もう大人なのに
20歳になったんだもん
しっかりしなきゃ

気づいたらご飯がしょっぱくて
食器と箸を置いて涙を拭った
しばらく顔を覆って楽しいこと考える
ご飯食べたら何しようかな
そうだ、隼くんのバンドの歌でも検索しよう
明日は何しようかな
家の掃除でもしようかな
広いからやりがいありそう

…うん、大丈夫






亜｢うまそ〜、肉じゃがだ｣


『っ！？』






亜嵐くんの声がして思わず顔から手を離した
そしたら前髪が垂れてちょっと幼くはなったものの
あの鋭い瞳は変わってない亜嵐くんと目が合った

見てたら吸い込まれそうな、そんな瞳

慌ててもう一度顔を覆う






亜｢俺も食べたい。用意してくれる？｣


『う、うん…！』






あ、れ
一瞬だったから気づいてないかな
よかった
亜嵐くんにバレたらいろいろ突っ込まれそう

なるべく顔をあげないようにして
亜嵐くんがこっち見てないの確認して
泣いてたのバレないように涙を拭いた






亜｢ねーねー、俺前と横どっち座ったらいい？｣


『え、と…前？』


亜｢前ね、おっけー｣






…あ、しまった
前にしたら顔見えちゃう…！




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