角砂糖に溶ける夢４【北×樹】

復帰？ ページ9

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『ふぅ…』






お昼を凪さんと交代して
受付に戻ってきた時だった

入口の自動ドアが開いて
すごい早足で歩いてくる誰か

お疲れ様です、って声かけようとして
その人を見た

思考が止まる






『い、つき…くん？』






わたしが呟いた声に反応して
ちら、と横目で見てきた
当然目が合って、頭が真っ白になる

どう、して…会社に、

何も言えずにただ樹くんを見つめてたら
微笑んで小さく手を振ってきた






『っ、！』






直接何かされたわけじゃないのに
何だか力が抜けて
椅子に座り込んでしまった

その様子を見て、眉を下げて笑ってから
樹くんはエレベーターホールに歩いて行った

あ、れ…？
ほんとにほんとに樹くん？
幻覚とかじゃ、ないよね
ちゃんと樹くんだったよね

思わず頭を抱える
もしかして、ほっくんに会いに来た？
仕事中だから、それはない…かな

お昼の時間が終わるまで
頭の中は樹くんでいっぱいだった

そろそろ凪さんが戻ってくる
そしたら話そう
樹くんがいたかもしれない、って






亜｢Aちゃん！！｣






エレベーターホールから白濱さんがにこやかに走ってくる
な、なんて爽やかなオーラをまとって走ってくるの…！






『白濱さん、お疲れ様で…』


亜｢会った！来週からなんだってね！｣


『…え？』


亜｢とぼけちゃってー。樹だよ！来週から戻ってくるんでしょ？｣


『も、どって…くる？』


亜｢あれ、えっとー…もしかして知らなかった？｣


『知らなかった…です』


亜｢…やっべ、余計なこと言ったかも。今の忘れて笑｣






いっ、いやいやいや…！
忘れられるわけないじゃないですか…！

声に出せず
頭をブンブンと横に振る






亜｢サプライズだったのかもしれないから、しーだよ！！俺、これから営業先行って直帰するね。じゃあ、午後もがんばろーう！！！｣


『えっ…、ちょっと白濱さん…！』






とんでもない爆弾を落としたまま
白濱さんはまたも爽やかに去っていった

来週から樹くんが戻ってくる？
会社に？
復帰するってこと？

…だめだ、頭が混乱してきた






凪｢ただいま〜｣


『あ、凪さん…』


凪｢え、なんか急に疲れてない？｣


『短時間でいろいろありすぎて…』


凪｢なになに、聞く！｣






一連の流れを話したら
会社中に響くんじゃないかってくらいの声で
凪さんは驚いた




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