角砂糖に溶ける夢４【北×樹】

ずるい声 ページ14

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レストランでご飯食べるつもりだったけど
樹くんが来たから予定変更

好きなブランドのお店に直行して、服選び

迷うなぁ、どれもかわいい






樹｢ねぇ、Aさん｣


『ん？』


樹｢俺、選んできていい？｣


『なにを？』


樹｢Aさんにあげる服｣


『え！？いや、申し訳ないからそんなのい、』


樹｢行ってきまーす｣






わたしに聞いたのに
わたしの話を全然聞かずにお店の中を物色しだした

セールだから安くはなってるけど…
樹くんがわたしにお詫びする理由なんて何もないし
むしろほっくんにした方がいいんじゃないかとも思う

だけどほっくんと樹くんは
何事もなかったかのように既に仲がいい

基本的にほっくんがふざけて
樹くんが冷静に突っ込んでるだけだけど…

玲於さんも何も変わらない
白濱さんも、小森さんも

だからこそ樹くんは戻ってこれたんだと思うけど
みんな大人だなって思う

わたしは、まだ少しこわいから






『うん、このくらいかな』






予算に合わせてお買い物
うまく買えたんじゃないかな

レジに持っていこうとしたけど
その前に樹くんの姿を探した
レジ横にきょろきょろしてる樹くんを見つけて手を振る
樹くんの手には、既にお会計済みの荷物があった






『買ったの…？』


樹｢うん、後で着てほしい｣


『え、もらえないって』


樹｢俺の好意無駄にするんですか｣


『そういうんじゃなくて、』


樹｢…傷つけたと思うんで、このくらいさせてください｣






少し悲しそうにした樹くんに何も言えなかった

そしたら、わたしから持ってた服を取って
再びレジに並ぶ






『なにしてんの！？』


樹｢しー。Aさん、声おっきいよ｣


『いやっ、え、そこじゃなくてさ…！』


樹｢会計終わるまであそこのベンチで休んでてください｣


『だめだめ…！これは自分で買うから』


樹｢…わがままだな｣






どっちが…！

絶対折れてやらないんだから、って思って
必死に樹くんが持ってた服を奪い返そうとする

そしたら、あの、猫を見た時みたいな柔らかい笑顔で笑って
さり気なく耳元に近づいてきて囁いた






樹｢…俺、Aさんのこと好きなんです｣


『…っ！？』


樹｢だから…かっこつけさせて？｣






低いくせに甘い、ずるい声

力が抜けて
何も言えなくて
服を掴んでた手を離したら

いい子ですね、って
頬を指でトントンされた




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